ヘタレαにつかまりまして 2

三日月

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20 夏休み side 翔

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あまりにも衝撃が強すぎて、階段を踏み外しそうになり慌てて手すりに捕まった。
み、見間違いだろうか??

周りにもよく似た光景、彼女らしき女子生徒が選手の胸で泣いているとか、選手同士で肩を寄せて泣いてるとか、槇地先生を取り囲んで泣いているとかはあるけれど。
あの、笹部先輩が、いくら仲が良くても三枝先輩に胸を貸すとか・・・似ているように見えても全然違うのに。

誰も遠巻きにせず、溶け込んでしまっている。

そうか、ここにはβしかいない。
笹部先輩が、どれだけαの中で恐れられている存在かはわからないから、か?

思い当たって、自分の反応でそれを悟られてはダメだと体勢を建て直した。
最後尾だったし、階段を下りている途中の人も階下の人も、自分達のことで頭がいっぱいらしく俺の挙動不審な態度に気付く人間はいないようだった。

改めて見渡すと、二人に注目しているのは、三枝先輩の後ろに立っている三枝先輩のお母さんだけだった。
二人を一歩引いた場所から見守っている。

俺が、近寄っても、良いものだろうか。

三枝先輩に声をかけたいけれど、笹部先輩がそれを赦してくれるだろうか。
ここには、万一怒らせてしまったときに止めてくれるリーダーの菊川先輩はいない。

笹部先輩は、三枝先輩の後頭部に右手を回し、苦笑いながらも引き寄せて受け止めているように見える。
三枝先輩の顔は見えないけれど、細かく震えている肩から泣いているのが伝わってきていた。

よっぽど負けたのが悔しかった・・・だけ、だよな?

近付けない雰囲気に感じるのは、相手が笹部先輩だから、だよな?
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