ヘタレαにつかまりまして ２

20 夏休み side 翔

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いらないこと？
いらないことって、なんだろう？

三枝先輩と別れて二階へ戻りながら、預かった伝言について考える。

変なことを言われてないか気にしていたし・・・それがいらないことだろうか？
俺が聞いてしまった小学生のときの話、とか？
引越しするときに、別れ際に女の子から皆が見ている前でキスをされたり。
母の日のプレゼントに道端の花を探して歩き回り、迷子になって警察のお世話になったり。

他にも色々三枝先輩のお母さんに話を伺ったけれど、どれも可愛いくて。
素直で元気な三枝先輩らしい話ばかりだった。
もっと聞いてみたいけど、三枝先輩が嫌なら止めておこう。

二階席に上がると、もう応援が始まっていた。
二号車の生徒は声を出して、試合前のコートでシュート練習が決まると拍手で盛り上げている。

俺は、自分が座る席より先に三枝先輩のお母さんを探すために一番前まで階段式になった座席を降りていく。
チラチラと好奇の目で見てくる生徒もいるが気にしない。
殆どの生徒に、俺が三枝先輩を尊敬して追いかけているのは知れ渡っている。

中等部からの友達には、呆れられるか、離れていかれた。
まぁ、確かに。
三枝先輩に会う前まで、男友達がβ男子に一目惚れしたと聞いたら驚くし。
仕方ないと思って、弁解もしていない。
離れていく中には、しつこいα女子もいたから助かっているところもある。

俺は、αの中では中の上くらいでそれほど何かに秀でているわけじゃない。
それでも、中等部で学年が上がるにつれて寄ってくるα女子はいたし、女性優位のα社会では無下にはできないので正直持て余していた。

俺が好きになってしまったせいで、三枝先輩に迷惑が掛からないように気を付けているけれど・・・三枝先輩は、あの菊川先輩の群れにも入っているから何かされることはないはず。
例え何か言われても、俺には知らせてくれないだろうな。