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20 夏休み side 翔
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ミーティングが終わるまで、その様子を一番近くで見える二階席から眺めて。
「三枝先輩っ」
練習再開で、三枝先輩がコート外に出たタイミングで手すりから身を乗り出して手を振る。
すぐにはどこから呼ばれたのかわからず、三枝先輩はキョロキョロ二階席を探していたけど。
「あ、桂木君!
今日も来てくれたん!」
俺に気付いて、手を振り返してくれた。
自分が練習に加わるまで時間があったのか、そのまま俺の真下まで走ってきてくれた。
汗が額に浮いていて、さっきまで一生懸命バスケをしていたんだろうなと容易に想像がつく。
他のコート外にいた部員も俺に気付いて、三枝先輩の周りに集まってきた。
「おぉ、今日も来てくれてんだなぁ」
「ちゃんと俺らのことも応援してくれよ~」
「そう、そう、チームで戦ってんだからな」
・・・絶対、面白がられてる。
「わかってます、わかってます」と適当に流しておく。
ここでむきになっても仕方ないし。
三枝先輩も、「もぉー」と半目になりながら追い払っていた。
昨日まで荷物運びのお手伝いをしていた効果かな?
先生も、チラッと俺を見上げてきたけど注意されなかった。
よし、少しなら許されそうだな。
自然と顔が綻ぶ。
「三枝先輩のお母さんと同じバスでしたよ」
「えぇ~、うちのおかん、変なこと言わへんかった?」
「全然、楽しかったですよ」
むぅとしかめ面になった三枝先輩が、可愛い。
「ほんまに?ほんまに?」と心配して聞いてくれるから、「はい」とその度に返事をする。
インハイがあるから、夏休みに入ってから一度も二人で会えてない。
こんなやりとりが出来ただけでも、ここに来て良かったなと本当に嬉しくなる。
ニヤニヤし過ぎて、気味悪がられないように気を付けないと。
ん、三枝先輩、昨日より表情が固いな?
勝ち進んでるから緊張してるのかな?
「三枝先輩っ」
練習再開で、三枝先輩がコート外に出たタイミングで手すりから身を乗り出して手を振る。
すぐにはどこから呼ばれたのかわからず、三枝先輩はキョロキョロ二階席を探していたけど。
「あ、桂木君!
今日も来てくれたん!」
俺に気付いて、手を振り返してくれた。
自分が練習に加わるまで時間があったのか、そのまま俺の真下まで走ってきてくれた。
汗が額に浮いていて、さっきまで一生懸命バスケをしていたんだろうなと容易に想像がつく。
他のコート外にいた部員も俺に気付いて、三枝先輩の周りに集まってきた。
「おぉ、今日も来てくれてんだなぁ」
「ちゃんと俺らのことも応援してくれよ~」
「そう、そう、チームで戦ってんだからな」
・・・絶対、面白がられてる。
「わかってます、わかってます」と適当に流しておく。
ここでむきになっても仕方ないし。
三枝先輩も、「もぉー」と半目になりながら追い払っていた。
昨日まで荷物運びのお手伝いをしていた効果かな?
先生も、チラッと俺を見上げてきたけど注意されなかった。
よし、少しなら許されそうだな。
自然と顔が綻ぶ。
「三枝先輩のお母さんと同じバスでしたよ」
「えぇ~、うちのおかん、変なこと言わへんかった?」
「全然、楽しかったですよ」
むぅとしかめ面になった三枝先輩が、可愛い。
「ほんまに?ほんまに?」と心配して聞いてくれるから、「はい」とその度に返事をする。
インハイがあるから、夏休みに入ってから一度も二人で会えてない。
こんなやりとりが出来ただけでも、ここに来て良かったなと本当に嬉しくなる。
ニヤニヤし過ぎて、気味悪がられないように気を付けないと。
ん、三枝先輩、昨日より表情が固いな?
勝ち進んでるから緊張してるのかな?
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