ヘタレαにつかまりまして 2

三日月

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20 夏休み side 翔

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ベットから起き上がり、身体を捻って伸ばすとバキバキ音がなる。
寝る前にストレッチはしたんだけどな。
結構疲れがたまってるのか?
万一寝坊したらシャレにならないし、朝の早い歌音に起こすよう頼んでいるけど、あの起こし方がなぁ。

着替えて、朝食。
身支度後に、用意されていた弁当と水筒を鞄にいれ、出勤前の父親と車に乗り込む。
空は明るくなっているけど、まだ六時前。
今日も長距離移動だ、と思うと気分は暗くなるけど。
三枝先輩の勇姿が見れるなら苦にならない。


「父さん、ありがとう」

「ん」


寡黙な父さんは、頷いて黙って車を走らせる。
行き先は、茅野学園だ。
連日、六時半にバスケ部後援会が用意してくれたバスが出発する。
三枝先輩の所属しているバスケ部が、去年は出場を逃したインターハイに進出。
応援にいきましょうと盛り上がった親御さんが金を出しあって、そこに俺も乗れば良いと誘ってもらえた。
昨日からは台数も増えて、女子生徒だけで1台埋まるようになった。

往復で六時間以上かかるし、会場の周辺はこれといった名所もない。
体力がついていかずに、毎日の応援を諦める人もいれば、俺のように毎日乗り込む人もいる。

俺は、夏休みに入ってから体育館に出入りする人数も減ったし。
練習の邪魔にならないよう、体育館の扉の近くで三枝先輩の練習を見ていた。
小さい身体を駆使して、相手のボールを低い位置で奪いそのまま速攻!
ゴールが決まると、パーッと太陽のような明るい笑顔が溢れる。

三枝先輩は、可愛いし、格好良いし、やっぱり好きだなと会うたびに再認識して、気持ちがどんどん大きくなっていく。
三枝先輩の迷惑にならないよう、先輩として憧れている風を装うことにしたけど難しい。
バスケ部の先輩や同級生には、バレバレで完全に面白がられてる。

応援初日から、長距離の時間を埋めるように自己紹介が始まって。
「なんで応援に来ているんだ」と、根掘り葉掘り聞き出そうとするお母さん達に捕まってしまった。
そこでは上手くかわしたつもりだったんだけど・・・

三枝先輩が、第一試合で途中出場したときには顔や態度に出たんだろうな。
「あのこの応援」と特定されてたし。
二日目からは、三枝先輩が出ると「良かったね!」と声を掛けられるようになっていた。
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