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20 夏休み side 翔

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「お兄様っ
早く起きないと、間に合いませんわっっ」


バンッ
ドフッ

ノック無しに開け放たれた扉の音と同時に、腹にめり込む痛みに目が覚めた。
受け止めた勢いで、ベットのスプリングが軋む。
た、確かに起こしてくれとは言ったけどっっ


「歌音(かのん)っっ
おーこーしーかーたーっ」


お腹の上にダイブしてきた妹を、身体に掛けていたタオルケットに包んで捕まえる。
そのままこちょこちょ手当たり次第に擽ると、声をあげて笑いながら歌音は逃げようとする。


「ひー、ひーどぃですわぁっ、あはははっ
お、おにぃ様が、ふはっ、起こせってっっ」

「ダイブはするなって、言っただろう!」


昨日も一昨日も、止めろと行って同じ目に合わせたのに全然懲りてないな。
いつまで小さいつもりでいるんだ!
俺の背骨が折れる!

時間もないしすぐに解放してやると、歌音はベットの上から転げ落ちるように逃げ出し手が届かない距離を確保した。
素早い動きにつられ、フワフワ乱れた髪が揺れている。
歌音は、俺と同じ、父親譲りの黒髪黒目。
だけど、歌音は母親に似て細くて柔らかい髪質なので、ボブにしても軽い印象がある。

ショートだったときは、男の子によく間違われていたので伸ばしたらしいが。
中身はまだまだガキンチョ。
同級生の男子と混じって、昼休みにはバスケだサッカーだと走り回ってるらしいしな。

歌音は、乱れたシャツとショートパンツを直しながら俺を睨んでくる。


「折角起こした妹に、ひどくありません?」

「それは感謝するけどさぁ」


やり方だよ、やり方!
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