ヘタレαにつかまりまして ２

19 夏休み side 陸

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プールサイドの椅子に引っ掻けていたタオル二枚を引っ掴み、その足で三枝の元に戻る。
咳は治まったようだな。
ゼーゼーと肩で息をしている頭に、三枝のタオルを背後から放った。
狙い通り、それは三枝の頭をすっぽりと包むように落下する。

三枝は、降ってきたタオルを手元まで寄せてこちらを振り返った。


「あ、ありが・・・」

「帰るぞ」


苦手な涙目で見上げられることを避けるために、さっさと踵を返してロッカールームへ向かう。

これ以上付き合っていられるかっ


「え、まっ待ってっっ」


背中で聞いた声は、必死にすがり付くようなものだが。
どんな気持ちで吐いてんのかね・・・
振り返らず、歩くスピードも緩める気もさらさら無かった。

が

ビターンッッ

プールサイドに響いた打ち付ける乾いた音に、思わず振り向き唖然。
追いかけてきたであろう三枝が、顔面からプールサイドの床に激突。
踏み潰されたカエルのように、無様な姿を晒していた。

ザワザワ周りの客は驚き、スタッフも飛んでこようとしたのを手で止める。
なーに、やってんだよ、コイツは。

仕方なく、頭を拭いていたタオルを肩に掛け、元来たルートをそのままたどりしゃがんで三枝を助け起こす。
うわぁ、顔を思いっきりいってんな。
鼻血出てんじゃねーか。

手近なタオルで顔を拭いてやると、ダバーッと涙腺が決壊。
だーかーらー、俺はお前の泣き顔は苦手なんだってーのっ