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18 運命の人

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下手なことを想像しただけでも、清人さんのフェロモン攻撃が飛んできそうなのでここは堪える。
考えるな、考えるな。
清人さんの遥馬さんに対する過剰反応を思い出そう。
ヤマがとばっちりでこんなにグッタリしてるなら、俺が遥馬さんがされたことなんて想像したら再起不能にされてしまうっ

ヤマの頭を撫でながら、他のことを考える。
そうだ、先に陽太さんから話が聞けたことに感謝しなくては。
萩野からは、まだ妊娠や出産について詳しく聞いてなかったからな。
萩野も、個人差があるから一概に教えられないんですよと言われていたっけ。

・・・ん?
ん、ん?
えっと、確か陽太さんは。
個人差の話をしたときに、ヤマを妊娠中の、澪さん、と・・・聞き間違いだったか?

膝の上で、周りが煩いと億劫そうに顔をしかめるヤマを見下ろす。
ヤマ、は、澪さんから生まれたの、か?
あれ、そう言えば。
ヤマは、ずっと陽太さんのことを父さんと呼んでるな。
孕親なら、名前呼びが一般的で、飛鳥さんも清人さんも陽太さんと呼んでいるのに。


「ん?
どうしたんだ、カナ?」


俺の訝しげな視線に気付いて、キョトンと見返してくる無防備なヤマ。
目の前に、実はずっと掲げられていたことに漸く気付けたような、納得してしまえる材料が揃っていた。

Ωにαが妊娠・・・いやいや、いくらΩを結婚相手にするような先進的な菊川家でも、だな。
有り得ない、有り得ないっ

「ハルちゃんには弱っちいなぁ」とやられっぱなしの清人さんを楽しんで眺めている陽太さんと、ヤマを見比べる。
華奢で小柄な陽太さんが、あの男装の麗人にして鉄仮面の澪さんを・・・で、ヤマが?


「どうかした?」


心配事か?と、伸びてきた指に前髪をすかれ、優しい眼差しに気が緩む。
もし違っていたら、Ωにαが妊娠させられるとかふざけるなっと。
いくら優しいヤマでも怒るから止めとけと。
踏み止まっていた自制心が、探求心に負けてしまった。


「あの、先程陽太さんが、倭人さんを妊娠したのは澪さんだと話していたような、気がするん、だが」


緊張して、話し方がおかしくなってしまった。
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