ヘタレαにつかまりまして 2

三日月

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18 運命の人

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遥馬さんに引き留められたと言うか、泣きそうな声で必死に名前を呼んでしがみつく遥馬さんの可愛い仕草に矛先を収めた清人さん。
なんの躊躇いもなく、腰にしがみついてる遥馬さんを抱き上げ、そのまま膝に乗せて座ろうとしたのを陽太さんからいい加減にしろと怒鳴られていた。
その後は、大人しく、三人掛けのソファーの中央に座っていた。
右隣に座った遥馬さんに、ピッタリ身を寄せて。

まぁ、これも数分前の話なんだが。

陽太さんから、俺達もソファーに腰掛けるよう言われて。
ヤマがまだ立つのは無理だと断っている間に、膝枕に変わっていた。
俺達には背を向け、遥馬さんのお腹を優しく撫でながらその膝に頭を置いてソファーに足を伸ばして横たわっていた。

陽太さんの顔は、ひきつっていたが。
遥馬さんが、「あの、俺が不安にさせたので」と庇うので顔をしかめて遥馬さんの正面に置いてあった一人掛けのソファーにドッカリと座られた。
両手には、ビーチサンダル。
いつでも投げてやるっと言う気迫が伝わってくる。


「カナ、俺も気分悪いし膝枕してくんない?」


冗談でも甘えでもなく、生気の抜けた顔で言われたら断れない。
俺も床で膝枕をし始めたら、陽太さんからは半目で睨まれた。


「もーいいわ、馬鹿息子どもがっ
さっさと終わらせるから、よぉくっ聞けよ!」


番に膝枕をさせる二人に、陽太さんはキレ気味。
そこから、簡単な妊娠の兆候について教えてもらった。

有無や症状に個人差はあるけれど、遥馬さんのように妊娠から出産までの間にイライラして落ち着かない時期が妊婦にはあること。
これは、自覚しても自分では止められないので、今後も遥馬さんが清人さんに当たることはあるだろうけれど、そこはどんと受け止めてイチイチ傷つくなよと言われていたんだが。

清人さんの背中に話してる陽太さん、既に顔が諦めてますよ。
「どうせ、コイツには無理だろう」と鼻で嗤いすぎでは。
遥馬さんは、今から「ごめんね」と謝っていたが、毎回清人さんは死線をさ迷うんだろう。

対して、妊娠したΩに、番のαの発情が利きづらくなることは例外が無いらしい。
番よりも子どもを優先してΩの身体が変わるので、Ω本人よりもαの方が妊娠に気付くことが多いようだ。

今回、陽太さんは異変に気付いた時点で相談してこなかった清人さんに怒っていた。
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