ヘタレαにつかまりまして 2

三日月

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18 運命の人

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陽太さんは、マネキンのように固まってしまった清人さんに首を傾げていたが思い当たることがあったようだ。
「あー、ハイハイ」と、軽く頷いて苦笑い。

陽太さんと目があったら、肩をすくめてみせた。
かなり確証が持てる答えに行き着いたようなので安心する。
このままだと、清人さんに取り込まれ身動きとれない遥馬さんが困るだろうし。
清人さんの耳に遥馬さんの声が届かないなんて、考えられなさすぎて怖すぎる。
是非今すぐ解消してください。

陽太さんは、「どうしようもねぇなぁ」と清人さんの顔を眺め、「ったく、バカ息子め」とぼやいてから報告を言い直した。


「ハルちゃんがな。
お前のこと嫌いとか言い出してたのは、妊娠してたせいで本心じゃないってことだ」


ギョロッ

今まで瞬きもせず、ガラス玉のような無感動の黒い瞳を宙で止まらせていた清人さん。
その瞳に生気が戻り、力強く動いた。
遥馬さんは、ますます焦った顔で「よよよ陽太さん!俺、嫌いになりそうとしか言ってないです!」と一生懸命に清人さんの腕の中で声を張るんだが、これも清人さんはスルーだ。

清人さんの目に捕まった陽太さんは、「うおぅっ」と思わず声を漏らす。
端から見ていても、目力の強さが今まで見た中で最強レベル。
いつもの氷の矢で射抜くような鋭さももちろん恐ろしいんだが、今回は全身に氷の厚板がのし掛かってきてその場で押し潰そうと挑まれているような圧だ。


「本当、だろうな?」


それを話した本人は、清人さんの腕の中にいて、陽太さんの言葉を直接打ち消そうとしている。
わざわざ陽太さんを介さなくても、清人さんから遥馬さんに尋ねれば良いのに。
清人さんは、遥馬さんから恐らくわざと視線も外して陽太さんに尋ねているからややこしい。

しかも、内容を磨り潰すような慎重な聞き方には重苦しさが滲んでいないか?
隣でヤマは、気分悪そうに口許を手で覆い唸っていた。
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