488 / 911
18 運命の人
21
しおりを挟む
遥馬さんが抵抗して自分では歩こうとされないから、二人が清人さんの方へ向かった後には、二人の攻防、遥馬さんの引きずられた長さ分絨毯に毛羽立ちが残る。
遥馬さん、一生懸命扉に戻ろうとはするんだけど。
やっぱり、優しい人だからだろうな。
陽太さんの手を無理矢理引き剥がせなくて、結局ズリズリ引っ張られてる。
「よよよよ陽太さぁんっ
あの、もうちょっと時間をぉおーーー」
「はいはい、十分やったろぉ?
ってか、ハルちゃんの心の準備待ってたら、一週間でも足りないだろ?
清人が干からびる方が早いって」
陽太さん、一歩も退く気がない。
清人さんの驚く顔を見たいし。
不機嫌だった遥馬さんが、いつもの遥馬さんに戻っている顔ももっと見たいな。
よく見るために、もう少し俺達も窓際に行こうとヤマを誘おうとしたんだが、「カナ、もう一回シーッてして?」と先に身を屈めたヤマからうっとりとお願いされてしまった。
しかも、陽太さん達が戻ってくるまで気配も立つくらい身を潜めていたのに、ぶわぁぁっと勢いよくその背後からフェロモンが押しよせてきた。
「可愛いっ」「カナ、カナ、大好き」「キスしたい、抱き締めたい、カナ、カナァッ」
今何処にいて。
どんな状況かも忘れて。
ヤマの視線とフェロモンにあてられ、言われるがままに答えようと左手の人差し指を立ててしまったんだが。
口元に持っていくまでに、俺を愛でるヤマの後頭部になにかが飛んできた。
スコーンッ
「いってぇぇーーーっ」
邪魔されたヤマが、顔をしかめて床に落ちたものを睨む。
その声で、俺も自分達が何故ここにいるのか思い出して左手を咄嗟に後ろ手に隠した。
危ない、危ない。
俺はヤマに甘過ぎる。
こんな時に、お願いされたからってシーッのリクエストに応えている場合じゃない。
床に落ちていたのは、ビーチサンダルだった。
この屋敷で、こんな靴を履くのは陽太さんしかいない。
遥馬さん、一生懸命扉に戻ろうとはするんだけど。
やっぱり、優しい人だからだろうな。
陽太さんの手を無理矢理引き剥がせなくて、結局ズリズリ引っ張られてる。
「よよよよ陽太さぁんっ
あの、もうちょっと時間をぉおーーー」
「はいはい、十分やったろぉ?
ってか、ハルちゃんの心の準備待ってたら、一週間でも足りないだろ?
清人が干からびる方が早いって」
陽太さん、一歩も退く気がない。
清人さんの驚く顔を見たいし。
不機嫌だった遥馬さんが、いつもの遥馬さんに戻っている顔ももっと見たいな。
よく見るために、もう少し俺達も窓際に行こうとヤマを誘おうとしたんだが、「カナ、もう一回シーッてして?」と先に身を屈めたヤマからうっとりとお願いされてしまった。
しかも、陽太さん達が戻ってくるまで気配も立つくらい身を潜めていたのに、ぶわぁぁっと勢いよくその背後からフェロモンが押しよせてきた。
「可愛いっ」「カナ、カナ、大好き」「キスしたい、抱き締めたい、カナ、カナァッ」
今何処にいて。
どんな状況かも忘れて。
ヤマの視線とフェロモンにあてられ、言われるがままに答えようと左手の人差し指を立ててしまったんだが。
口元に持っていくまでに、俺を愛でるヤマの後頭部になにかが飛んできた。
スコーンッ
「いってぇぇーーーっ」
邪魔されたヤマが、顔をしかめて床に落ちたものを睨む。
その声で、俺も自分達が何故ここにいるのか思い出して左手を咄嗟に後ろ手に隠した。
危ない、危ない。
俺はヤマに甘過ぎる。
こんな時に、お願いされたからってシーッのリクエストに応えている場合じゃない。
床に落ちていたのは、ビーチサンダルだった。
この屋敷で、こんな靴を履くのは陽太さんしかいない。
1
お気に入りに追加
1,442
あなたにおすすめの小説


男子寮のベットの軋む音
なる
BL
ある大学に男子寮が存在した。
そこでは、思春期の男達が住んでおり先輩と後輩からなる相部屋制度。
ある一室からは夜な夜なベットの軋む音が聞こえる。
女子禁制の禁断の場所。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

孕めないオメガでもいいですか?
月夜野レオン
BL
病院で子供を孕めない体といきなり診断された俺は、どうして良いのか判らず大好きな幼馴染の前から消える選択をした。不完全なオメガはお前に相応しくないから……
オメガバース作品です。
【完結】幼馴染から離れたい。
June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。
βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。
番外編 伊賀崎朔視点もあります。
(12月:改正版)
読んでくださった読者の皆様、たくさんの❤️ありがとうございます😭
1/27 1000❤️ありがとうございます😭
3/6 2000❤️ありがとうございます😭

番に囲われ逃げられない
ネコフク
BL
高校の入学と同時に入寮した部屋へ一歩踏み出したら目の前に笑顔の綺麗な同室人がいてあれよあれよという間にベッドへ押し倒され即挿入!俺Ωなのに同室人で学校の理事長の息子である颯人と一緒にα寮で生活する事に。「ヒートが来たら噛むから」と宣言され有言実行され番に。そんなヤベェ奴に捕まったΩとヤベェαのちょっとしたお話。
結局現状を受け入れている受けとどこまでも囲い込もうとする攻めです。オメガバース。
元ベータ後天性オメガ
桜 晴樹
BL
懲りずにオメガバースです。
ベータだった主人公がある日を境にオメガになってしまう。
主人公(受)
17歳男子高校生。黒髪平凡顔。身長170cm。
ベータからオメガに。後天性の性(バース)転換。
藤宮春樹(ふじみやはるき)
友人兼ライバル(攻)
金髪イケメン身長182cm
ベータを偽っているアルファ
名前決まりました(1月26日)
決まるまではナナシくん‥。
大上礼央(おおかみれお)
名前の由来、狼とライオン(レオ)から‥
⭐︎コメント受付中
前作の"番なんて要らない"は、編集作業につき、更新停滞中です。
宜しければ其方も読んで頂ければ喜びます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる