ヘタレαにつかまりまして 2

三日月

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18 運命の人

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このあと、三枝は聞く耳どころか話をする時間もくれなかった。
三枝が笹部に「好きだ」と告白したところで、それはお前が桂木から告白されたときと同じくらい許容範囲外扱いされるし。
明日から頻繁に会わなくなる夏休み期間中に、万一発情期が来たら他のαに襲われる心配もある。

どれだけ三枝の言っていることが、現実味の無いことかを俺は話したいのに。

根拠の無い自信を崩すのは、その見えていない部分を相手にわからせ、自信を揺るがせれば良い簡単なことだと思っていたんだが。
三枝には、全く通じない。
話す前に「大丈夫、大丈夫っ」と満面の笑みで封じられてしまう。

こんなに盲信している状態では、話したところで「何言ってんの?」と一笑にふされて終わるな。

あぁ、これはどう考えても。

チラッと御両親を見たら、あちらも俺と同じひきつり笑い。
自分達がやり過ぎてしまった弊害を目の当たりして、手も足も出ないようだ。
変異種Ωになっていたことで、三枝が傷付き自殺するような事態にならなかったことは本当に良かったんだが。
どう見ても、ここまで二次元と三次元の区別がつかないのはやりすぎだ。

俺は、ふわふわどこかに飛んでいきそうな三枝を取り敢えず落ち着かせ部活も予定もない日を教えてもらった。
こうなったら、最後の頼みの綱は遥馬さんだ。
同じβから変異種Ωになった遥馬さんと会わせて、人の話を聞く気持ちくらいにはさせよう。

幸せそうな三枝を、同じくらい幸せそうに見ている樟葉にも溜め息をついて連絡を取った。
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