ヘタレαにつかまりまして 2

三日月

文字の大きさ
上 下
467 / 911
17 メモ

22

しおりを挟む
「でも、その子、今はスラッと変わってるやろ?
向こうの孕親さん、千里さんっ名前で元αなんやけどな。
まだ、その後のことどうするか決められへんかったときにな。
その人とよぅ電話で話してて。
互いにこの写真は持ってたしな。
この外見もネックですよねって、申し訳なさそうに言うて。
小さいときは、幾ら注意してもジジババと父親が山ほど買い与えるからその時はブクブクしてますが、今は少しずつ痩せて来てますからって聞いてたんやけどなぁ。
正直、ブクブクなまんまやったら、いくら引き寄せられてもあかんのちゃうかなって心配しててん。
ほら、渡、うちに似て面食いやし」


三枝が持っている写真を指差して、頼子さんは肩を竦めるが、三枝はなんのことかわからずきょとんとしている。
恐らく、三枝はまだ気付いていない。
俺は、先程から埋めても消しても涌き出てくる嫌な予感が的中しそうな気配に、キリキリ痛み出した胃を押さえているというのに!

至近距離で、マシンガンどころかロケットランチャーを構えられているのに、三枝は無防備な上に棒立ちだ。
この衝撃に、耐えられるのか?
まだ、全く知らないふくよかなαの方が良いんじゃないか?


「去年、茅野学園に渡が無事に合格したからね。
もう、あとは時間の問題だろうって、入学式の後に一足早く親同士で直に会って互いの家族写真を交換したんだ。
あのときの衝撃は、忘れられないよ。
渡も、信じられないだろう?
その子が、あの陸君なんて」


・・・さらっと、道成さんが投下した爆撃に。
隣で三枝が、ヒュッと息を飲んだのが聞こえた。
怖くて三枝の顔が見れない。
顔面蒼白で済むだろうか?

やっぱりなのか、と。
そうなのか、と。
予想して身構えていた他人の俺でも、一瞬で穴だらけにされた気分だ。
くっっ、よりによって、アレが三枝の番なのかぁぁぁあっっ


「かなちゃん、かなちゃん、陸君って?
僕も知ってるぅ?」


あぁ、ここには更に三枝を上回る鈍感な人間がいた!
ツンツンと、服を引っ張られ半目で見返す。
ランチを一緒にすごしている、群れの人間のフルネームくらい覚えてやれ。


「知ってるも何も、笹部のこ・・・」

「きゃぁあああーーーーーっ」


樟葉への返答は、背後の三枝の絶叫で掻き消された。
しおりを挟む
感想 961

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染から離れたい。

June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。 βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。 番外編 伊賀崎朔視点もあります。 (12月:改正版) 読んでくださった読者の皆様、たくさんの❤️ありがとうございます😭 1/27 1000❤️ありがとうございます😭

僕の番

結城れい
BL
白石湊(しらいし みなと)は、大学生のΩだ。αの番がいて同棲までしている。最近湊は、番である森颯真(もり そうま)の衣服を集めることがやめられない。気づかれないように少しずつ集めていくが―― ※他サイトにも掲載

俺の彼氏は俺の親友の事が好きらしい

15
BL
「だから、もういいよ」 俺とお前の約束。

【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます

夏ノ宮萄玄
BL
 オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。  ――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。  懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。  義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。

運命の番はいないと診断されたのに、なんですかこの状況は!?

わさび
BL
運命の番はいないはずだった。 なのに、なんでこんなことに...!?

欠陥αは運命を追う

豆ちよこ
BL
「宗次さんから番の匂いがします」 従兄弟の番からそう言われたアルファの宝条宗次は、全く心当たりの無いその言葉に微かな期待を抱く。忘れ去られた記憶の中に、自分の求める運命の人がいるかもしれないーー。 けれどその匂いは日に日に薄れていく。早く探し出さないと二度と会えなくなってしまう。匂いが消える時…それは、番の命が尽きる時。 ※自己解釈・自己設定有り ※R指定はほぼ無し ※アルファ(攻め)視点

ただ愛されたいと願う

藤雪たすく
BL
自分の居場所を求めながら、劣等感に苛まれているオメガの清末 海里。 やっと側にいたいと思える人を見つけたけれど、その人は……

偽物の運命〜αの幼馴染はβの俺を愛しすぎている〜

白兪
BL
楠涼夜はカッコよくて、優しくて、明るくて、みんなの人気者だ。 しかし、1つだけ欠点がある。 彼は何故か俺、中町幹斗のことを運命の番だと思い込んでいる。 俺は平々凡々なベータであり、決して運命なんて言葉は似合わない存在であるのに。 彼に何度言い聞かせても全く信じてもらえず、ずっと俺を運命の番のように扱ってくる。 どうしたら誤解は解けるんだ…? シリアス回も終盤はありそうですが、基本的にいちゃついてるだけのハッピーな作品になりそうです。 書き慣れてはいませんが、ヤンデレ要素を頑張って取り入れたいと思っているので、温かい目で見守ってくださると嬉しいです。

処理中です...