ヘタレαにつかまりまして 2

三日月

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「まぁ、渡は忘れてるままなんかもしれへんけどな」


頼子さんは、母子手帳に挟んでいた写真を一枚取り出して三枝に渡す。
三枝は、椅子に座り直してそれを俺達にも見せてくれた。
二人の子どもが、縁側でスイカを食べている光景が撮られたものだ。

二人の間には、切られたスイカが載ったお盆が置かれ、ラムネの瓶も2本見える。
見ているだけで、セミの声が聞こえてきそうだな。

一人は、目がクリクリしたピンク色のTシャツに白のショートパンツの女の子。
もう一人は、良く言ってもふくよか、ハッキリ言えば肥満児。
女の子の二倍はありそうな膨れた身体で、両手には食べかけのスイカが握られている。

楽しそうに笑っていて、仲が良さそうなのは伝わってくる。


「あ、これ、俺やん。
なんや、女の子の格好してるけど、ここってどこなん?
隣の子もわからへんねんけど?」


「え、コレ、三枝君なの?」


驚いた樟葉が写真を覗きこむから、その頭に遮れ見えなくなってしまった。


「小学二年のときやな。
男の子の格好させたら、ちゃんと男の子なんやけどな。
引っ越しすんのに、渡だけうちのじぃちゃんに預けてんけど服を全部段ボールに詰めて送った後やったから。
そこにいる間、親戚の幸代ちゃんの服を借してもらっててん」


「流石に下着は買ったけどね」と道成さんが付け加える。
女の子にしか見えなかったが・・・言われてみれば、面影があるのか?
樟葉が身体を起こすのを待ち、もう一度眺める。

二刀流の男の子と顔を見合わせ笑っている。
言われると、面影があるような。
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