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「いくら無差別じゃないと説明しても、Ωに変えるような力があるなんてわかったら、βや他のαは怖がって求愛給餌特化型のαを人間社会から追い出そうとするだろうし。
それに、理由はわからないそうなんだけど、昔より成立条件が緩和されていてね。
求愛給餌特化型のαも、この能力をもて余してるんだそうだよ」


道成さんは、キラキラ瞳を輝かせている三枝を穏やかに見守る。


「そうやねんて。
昔はな。
α側が番になって欲しいって口に出して、相手の番になる覚悟も必要やったらしいんやけど・・・食べ物を与える行為が特別になりすぎてな。
自分があげたもんを食べてる姿見てると、すっごい気持ちが満たされてしまうらしいわ。
そんで、受け入れてもらえてるって勝手に遺伝子が判断してしもてな。
うっかり飲み物のシェアしただけで、相手を変異種Ωに変えてしまうんやて。
互いに番相手として見てなくても、漠然とした好意を持ってるだけで成り立つらしいわ。
渡ん時も、な」


三枝を怖がらせないように、頼子さんの話すスピードは徐々に下がり。
最後に名前を呼んだ時には、止まりかけたオルゴールのよう。
尻すぼみで掠れた先は、この話を聞いた三枝がどう思うのかを危惧する気持ちへ繋がっている。

つまり、それがその身に起こったとき、三枝には番になる覚悟は無かったということ。
小学何年生のときか、まだ明かされていないが。
一生を左右する番相手について、βとして生きてきた子どもが判断できる筈はない。

しかし、うっかり飲み物のシェアも出来ないなんてどれだけ条件が緩くなっているんだ。
食事は、生きていく中で必ず必要な行為。
相手の人生を巻き込む危険が常につきまとうなんて、そのαは集団生活も出来なくなるじゃないか。

食べ物・・・慎重・・・ん?

何かに思い当たりかけたんだが、それは一瞬のことであっという間に掴みかけた違和感は頭から消えてしまった。
そこを深く掘り下げては行けないと、本能がその可能性を考えることを拒否し邪魔していたのかもしれない。
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