452 / 911
17 メモ
7
しおりを挟む
それまで黙っていた道成さんが、この収拾のつかない状態に「困ったなぁ」と呟き立ち上がったようだ。
近付いてくる気配に、殴られても仕方ないと咄嗟に身構えたら、ポンポンと緊張して固くなっている肩を軽く叩かれた。
力を抜けと言ってくれているような、優しいテンポと強さだった。
「よりちゃん、最初から説明しないと誤解してるかなちゃんが顔を上げてくれないよ。
ほら、渡もコレに座って。
みこちゃんは、その空いた椅子に」
穏やかな口調は変わらず、頼子さんと同様に俺を責めようとしない。
寧ろ、説明が出来ていない頼子さんを責めているようにも聞こえる。
説明なんて・・・何を説明されるんだ?
道成さんは、俺の隣で泣いてくれている三枝に、自分が座っていたキャスター付きの椅子の背もたれを押して床を滑らせ、座るように促す。
床に両膝をついたままだった樟葉にも、座っていた椅子に戻るよう勧めた。
「そうやね。
初めから説明せな、わからへんわな。
あんな、かなちゃん。
ちゃんと説明するし、顔上げて?」
頼子さんは隣の席に移り、頼子さんが座っていた席には道成さんが座った。
テーブルを挟んで、2対3。
恐る恐る顔をあげると、目の前には道成さん。
その左には頼子さん。
二人の表情は、先程より少しだけだが緊張しているようにも見える。
「渡も、しっかり聞いてな?
あんたがΩになったんは、小学生の頃。
かなちゃんと出会うずっと前やねん」
近付いてくる気配に、殴られても仕方ないと咄嗟に身構えたら、ポンポンと緊張して固くなっている肩を軽く叩かれた。
力を抜けと言ってくれているような、優しいテンポと強さだった。
「よりちゃん、最初から説明しないと誤解してるかなちゃんが顔を上げてくれないよ。
ほら、渡もコレに座って。
みこちゃんは、その空いた椅子に」
穏やかな口調は変わらず、頼子さんと同様に俺を責めようとしない。
寧ろ、説明が出来ていない頼子さんを責めているようにも聞こえる。
説明なんて・・・何を説明されるんだ?
道成さんは、俺の隣で泣いてくれている三枝に、自分が座っていたキャスター付きの椅子の背もたれを押して床を滑らせ、座るように促す。
床に両膝をついたままだった樟葉にも、座っていた椅子に戻るよう勧めた。
「そうやね。
初めから説明せな、わからへんわな。
あんな、かなちゃん。
ちゃんと説明するし、顔上げて?」
頼子さんは隣の席に移り、頼子さんが座っていた席には道成さんが座った。
テーブルを挟んで、2対3。
恐る恐る顔をあげると、目の前には道成さん。
その左には頼子さん。
二人の表情は、先程より少しだけだが緊張しているようにも見える。
「渡も、しっかり聞いてな?
あんたがΩになったんは、小学生の頃。
かなちゃんと出会うずっと前やねん」
1
お気に入りに追加
1,441
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染から離れたい。
June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。
βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。
番外編 伊賀崎朔視点もあります。
(12月:改正版)
読んでくださった読者の皆様、たくさんの❤️ありがとうございます😭
1/27 1000❤️ありがとうございます😭

僕の番
結城れい
BL
白石湊(しらいし みなと)は、大学生のΩだ。αの番がいて同棲までしている。最近湊は、番である森颯真(もり そうま)の衣服を集めることがやめられない。気づかれないように少しずつ集めていくが――
※他サイトにも掲載



【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます
夏ノ宮萄玄
BL
オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。
――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。
懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。
義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。

欠陥αは運命を追う
豆ちよこ
BL
「宗次さんから番の匂いがします」
従兄弟の番からそう言われたアルファの宝条宗次は、全く心当たりの無いその言葉に微かな期待を抱く。忘れ去られた記憶の中に、自分の求める運命の人がいるかもしれないーー。
けれどその匂いは日に日に薄れていく。早く探し出さないと二度と会えなくなってしまう。匂いが消える時…それは、番の命が尽きる時。
※自己解釈・自己設定有り
※R指定はほぼ無し
※アルファ(攻め)視点


偽物の運命〜αの幼馴染はβの俺を愛しすぎている〜
白兪
BL
楠涼夜はカッコよくて、優しくて、明るくて、みんなの人気者だ。
しかし、1つだけ欠点がある。
彼は何故か俺、中町幹斗のことを運命の番だと思い込んでいる。
俺は平々凡々なベータであり、決して運命なんて言葉は似合わない存在であるのに。
彼に何度言い聞かせても全く信じてもらえず、ずっと俺を運命の番のように扱ってくる。
どうしたら誤解は解けるんだ…?
シリアス回も終盤はありそうですが、基本的にいちゃついてるだけのハッピーな作品になりそうです。
書き慣れてはいませんが、ヤンデレ要素を頑張って取り入れたいと思っているので、温かい目で見守ってくださると嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる