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その優しい二人の横顔を、食い入るように見てしまう。
どんな些細な変化も見逃したくない。
この場で、急に受け入れることは難しくても、三枝を傷付けるようなことは、言って欲しくなかった。
俺達にゆっくりと向き直ったその表情は優しく、頼子さんと目があってニッコリ微笑まれた。
そこには、戸惑いや三枝を拒否するような感情は見られない。
むしろ、穏やかで。
立ち上がり伸ばした手が、泣いている三枝の頭を優しく撫でる。
フツッと、俺の緊張も切れてしまった。
頭を撫でられながら、まだ泣いている三枝の手を握り直す。
良かったな、三枝っ
じわじわと満ちてくる気持ちに、俺の目からも涙が出てくる。
「な、ので。
βの出生証明書は、今後使えなくて。
おそらく、ここにも住めなくなるかもしれ・・・」
「あぁ、大丈夫だよ。
この都市に住む条件は、βの出生証明書だけだからね。
役所がβで運営してるからうっかりしてるだけなんだろうけど、有効性についてはどこにも求めてないんだよ。
よりちゃん、渡も友達も泣かせて、こんなに心配させることになるんだったら、やっぱり渡に話しておいた方が良かったんじゃないかな?」
・・・?
「ん"~~、渡が泣くのは予想してたんやけど。
かなちゃんまで泣かせてしもたし、みこちゃんも心配させたし・・・こんな展開になるなんて、思ってへんかったなぁ。
あれ、みち君。
管理機関への報告が重複してしまうけど、大丈夫やろか?」
・・・??
「それは、確か大丈夫だったんじゃないかな。
至急躊躇いなく報告する義務が前提だから、重複して報告されても受理はされるはずだよ」
「ほんなら、良かったわ」
・・・???
三枝は、泣くのをやめていた。
俺の涙も、引っ込んでいた。
樟葉は、口をポカンと開けていた。
どんな些細な変化も見逃したくない。
この場で、急に受け入れることは難しくても、三枝を傷付けるようなことは、言って欲しくなかった。
俺達にゆっくりと向き直ったその表情は優しく、頼子さんと目があってニッコリ微笑まれた。
そこには、戸惑いや三枝を拒否するような感情は見られない。
むしろ、穏やかで。
立ち上がり伸ばした手が、泣いている三枝の頭を優しく撫でる。
フツッと、俺の緊張も切れてしまった。
頭を撫でられながら、まだ泣いている三枝の手を握り直す。
良かったな、三枝っ
じわじわと満ちてくる気持ちに、俺の目からも涙が出てくる。
「な、ので。
βの出生証明書は、今後使えなくて。
おそらく、ここにも住めなくなるかもしれ・・・」
「あぁ、大丈夫だよ。
この都市に住む条件は、βの出生証明書だけだからね。
役所がβで運営してるからうっかりしてるだけなんだろうけど、有効性についてはどこにも求めてないんだよ。
よりちゃん、渡も友達も泣かせて、こんなに心配させることになるんだったら、やっぱり渡に話しておいた方が良かったんじゃないかな?」
・・・?
「ん"~~、渡が泣くのは予想してたんやけど。
かなちゃんまで泣かせてしもたし、みこちゃんも心配させたし・・・こんな展開になるなんて、思ってへんかったなぁ。
あれ、みち君。
管理機関への報告が重複してしまうけど、大丈夫やろか?」
・・・??
「それは、確か大丈夫だったんじゃないかな。
至急躊躇いなく報告する義務が前提だから、重複して報告されても受理はされるはずだよ」
「ほんなら、良かったわ」
・・・???
三枝は、泣くのをやめていた。
俺の涙も、引っ込んでいた。
樟葉は、口をポカンと開けていた。
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