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顔を上げた三枝の、固く閉ざされた目尻からボロボロ涙が溢れ落ちる。
床に両膝をついた樟葉は、緊張の糸が途切れた三枝を「頑張ったね」「偉いね」と優しく宥めていた。
普段の樟葉はとても頼りないのに、緊急事態でこの落ち着きようはなんだ・・・
俺も、俺もしっかりしなくては!
三枝を樟葉に任せ、俺は三枝の御両親へ向き直った。
「実は、修学旅行中に三枝にΩ疑惑が持ち上がりまして、昼間に病院でバース性の診断を受けていたんです。
その結果、Ωとわかり、管理機関にも報告をさせていただいています」
交互に顔を見比べながら、ゆっくり話すように心掛ける。
そうしていないと、三枝がΩだった事実をどうか受け止めて欲しいと逸る気持ちが先走り、早口になりそうだったからだ。
そんなことをしたら、逆効果。
御両親のパニックを引き起こしてしまうかもしれない。
長年、βとして育ててこられたんだ。
冷静に事実を受け止めて貰うのには、時間がかかって当然だ。
頼子さんと道成さんは、三枝の告白や俺の説明を受けても怒鳴ったり、一緒に泣き出してはいなかったが。
ショックが大きすぎて、反応すら出来ないだけだろう。
他に、三枝のフォローをしてやれることはないだろうか。
御両親の気持ちを刺激しないよう、冷静なふりをして話してはみたが。
このときの俺は、内心は焦りと不安で空回り。
次に何を話すべきなのか、これ以上の言葉が出てこなかった。
時間にして、ほんの僅かな沈黙。
だが、この状況下では耐えきれず、まるで永遠のように感じてしまう。
重苦しい雰囲気がのし掛かったリビングで、三枝の御両親は脱力した表情で互いに顔を見合わせ、フッと微笑みあった。
床に両膝をついた樟葉は、緊張の糸が途切れた三枝を「頑張ったね」「偉いね」と優しく宥めていた。
普段の樟葉はとても頼りないのに、緊急事態でこの落ち着きようはなんだ・・・
俺も、俺もしっかりしなくては!
三枝を樟葉に任せ、俺は三枝の御両親へ向き直った。
「実は、修学旅行中に三枝にΩ疑惑が持ち上がりまして、昼間に病院でバース性の診断を受けていたんです。
その結果、Ωとわかり、管理機関にも報告をさせていただいています」
交互に顔を見比べながら、ゆっくり話すように心掛ける。
そうしていないと、三枝がΩだった事実をどうか受け止めて欲しいと逸る気持ちが先走り、早口になりそうだったからだ。
そんなことをしたら、逆効果。
御両親のパニックを引き起こしてしまうかもしれない。
長年、βとして育ててこられたんだ。
冷静に事実を受け止めて貰うのには、時間がかかって当然だ。
頼子さんと道成さんは、三枝の告白や俺の説明を受けても怒鳴ったり、一緒に泣き出してはいなかったが。
ショックが大きすぎて、反応すら出来ないだけだろう。
他に、三枝のフォローをしてやれることはないだろうか。
御両親の気持ちを刺激しないよう、冷静なふりをして話してはみたが。
このときの俺は、内心は焦りと不安で空回り。
次に何を話すべきなのか、これ以上の言葉が出てこなかった。
時間にして、ほんの僅かな沈黙。
だが、この状況下では耐えきれず、まるで永遠のように感じてしまう。
重苦しい雰囲気がのし掛かったリビングで、三枝の御両親は脱力した表情で互いに顔を見合わせ、フッと微笑みあった。
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