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16 社宅

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「ほんなら、今年は尻尾も付けれるなぁ」


キランと、頼子さんの瞳が輝く。
まぁ、もう譲ったものだし、お好きにどうぞと俺も頷いておいた。
お茶を配り終えた三枝は、「誰が着るかにもよるから、勝手につけんといてや!」と強く念押し。
頼子さんは残念そうだったが、流石に道成さんから「よりちゃん、学園祭なんだから、親が手を出すのは控えないとね」とやんわり注意されて渋々了承していた。

そして、すぐに話題は移る。
移るどころか、怒涛の勢いで流れ出した。


「かなちゃんもみこちゃんも来てくれんの分かってたら、お口に合うかはわからへんけどうちの工場直産のお菓子をお土産に渡したかったなぁ。
みこちゃんとこで、渡が美味しいご飯まで貰ってたんやろ?
ほんまにありがとうね。
あぁ、そやそや、修学旅行の話も聞かんと!
写真は帰ってから見せるって言われてな。
渡が全然送ってくれへんかったし、おばちゃん、話聞くの楽しみにして待っててん。
かなちゃんとみこちゃんも来てくれたし、二人からも色々聞かせて?
渡、調子に乗ってはしゃいでこけたり、自分の行きたいとこばっかり連れ回さへんかった?
お揃いの番避けもして、ほんまに仲良くして貰ってんねんなぁ」


テンポ良く、しかも止めどなく話されると、返事の隙間がない!
樟葉は、自分に話しかけられたから答えようとしたんだが。
口を開いたところで次の話題に移ってしまい、話題に乗り込みそびれてしまった。

イメージとしては、縄跳びに近い。
頼子さんが飛んでいる縄跳びに、「さぁ、入ってきて」と誘われてはいるんだが、俺達には高速過ぎて回っている縄を目で追いかけるのがやっと。
いつまでたっても、一歩が出ない。
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