ヘタレαにつかまりまして 2

三日月

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16 社宅

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「取り合えず、中、入って」

「う、うん。
お邪魔します」

「お邪魔します」


三枝は、ふっと軽く息を吐き、笑顔で入るよう勧めてくれた。
ずっと張りつめていた糸が、完全に切れたんだろう。
表情が柔らかくて、見ている側もホッとする。


「うちのおかん、元気やろ?
ビックリさせたやんなぁ」

「明るい方なんだな。
それより、三枝が俺達のことをどう話していたのかが気になるぞ?」

「えぇ??
そんな変なこと話してへんで?
はよ入らへんと迎えにくるし、入って、入って!」


多少誤魔化された感があったが、俺と樟葉は足元に用意されていたスリッパを見て気が逸れてしまった。
玄関の縁に揃えて置かれた二組のスリッパ。
それは、表側にストライプリボンと獣耳がピョコンとついた白地のアニマルスリッパ。
玄関マットが緑地に花柄だったから、まるでお花畑の上に並んでいるみたいだ。

菊川家のルームシューズは無地だし、桜宮家は土足。
樟葉の家のスリッパは、古典の和柄だったからな。
それと比べると、あまりにファンシー。
まるでぬいぐるみみたいだったから、足を通すのに気が引けてしまった。

俺は猫で、樟葉は犬。
夏仕様のタオル生地だったが、履いてしまうと見えない内側はパステルのストライプ柄。
樟葉は、スリッパの裏側にあった滑り止めの肉球スタンプを良く見ようと足を上げバランスを崩し壁にぶつかっていた。

三枝の足元を見たら、同じシリーズらしきウサギ。
三枝家の趣味なんだろうか。
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