ヘタレαにつかまりまして 2

三日月

文字の大きさ
上 下
432 / 911
16 社宅

17

しおりを挟む
恋愛小説を読み込んでいる三枝らしく、番については驚くべき順応性を発揮して妄想までしていたが。
いざ、帰宅して親に打ち明ける段階までくると話は違うようだ。
病院から出ようと腰をあげたら、完全に尻込み。

三枝から、自分一人では心細すぎると涙目で頼み込まれ、病院を出た俺達はそのまま四人で三枝の家へ向こうことになった。

三枝の御両親も、今日は休日でこの時間は在宅とのこと。
今から帰ると、三枝が事前に連絡をして確認済みだ。


「あぁ、もぅ、気持ち悪ぅなってきたぁ」


三枝は、車が走り出すと後部座席でお腹を抱え不調を訴える。
Ωの人権解放運動が活発になっていても、Ωだとわかった途端、未だに棄てられる子どもがいるからな。
βと思って育ててきたのに、それがΩになっていたんだと分かればどんな反応をされるのか想像がつかない。

遥馬さんの場合は、今も交流があるがこの場合参考にはならないしな。
父親と兄の職場が、菊川家という特殊事情だ。

三枝も、自分の親なら大丈夫だと流石に思いきれないんだろう。
原因も時期もはっきりしないから、どう打ち明けるかも難しい。
今はただ、Ωになっていた事実をそのまま話すことしか出来ない。

もし、これで三枝が勘当されるようなことになったら。

ミラー越しに、後部座席の三枝を盗み見る。
隣に座った樟葉の手を握り、緊張で顔も身体もガチガチに強ばっている。
それが移ったんだろうか。
俺も緊張で手が震え出した。

責任は、俺が取る。
何が起こっても、俺が三枝を必ず守る。
しおりを挟む
感想 961

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染から離れたい。

June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。 βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。 番外編 伊賀崎朔視点もあります。 (12月:改正版) 読んでくださった読者の皆様、たくさんの❤️ありがとうございます😭 1/27 1000❤️ありがとうございます😭

俺の彼氏は俺の親友の事が好きらしい

15
BL
「だから、もういいよ」 俺とお前の約束。

僕の番

結城れい
BL
白石湊(しらいし みなと)は、大学生のΩだ。αの番がいて同棲までしている。最近湊は、番である森颯真(もり そうま)の衣服を集めることがやめられない。気づかれないように少しずつ集めていくが―― ※他サイトにも掲載

運命の番はいないと診断されたのに、なんですかこの状況は!?

わさび
BL
運命の番はいないはずだった。 なのに、なんでこんなことに...!?

ただ愛されたいと願う

藤雪たすく
BL
自分の居場所を求めながら、劣等感に苛まれているオメガの清末 海里。 やっと側にいたいと思える人を見つけたけれど、その人は……

欠陥αは運命を追う

豆ちよこ
BL
「宗次さんから番の匂いがします」 従兄弟の番からそう言われたアルファの宝条宗次は、全く心当たりの無いその言葉に微かな期待を抱く。忘れ去られた記憶の中に、自分の求める運命の人がいるかもしれないーー。 けれどその匂いは日に日に薄れていく。早く探し出さないと二度と会えなくなってしまう。匂いが消える時…それは、番の命が尽きる時。 ※自己解釈・自己設定有り ※R指定はほぼ無し ※アルファ(攻め)視点

【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます

夏ノ宮萄玄
BL
 オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。  ――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。  懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。  義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。

言い逃げしたら5年後捕まった件について。

なるせ
BL
 「ずっと、好きだよ。」 …長年ずっと一緒にいた幼馴染に告白をした。 もちろん、アイツがオレをそういう目で見てないのは百も承知だし、返事なんて求めてない。 ただ、これからはもう一緒にいないから…想いを伝えるぐらい、許してくれ。  そう思って告白したのが高校三年生の最後の登校日。……あれから5年経ったんだけど…  なんでアイツに馬乗りにされてるわけ!? ーーーーー 美形×平凡っていいですよね、、、、

処理中です...