ヘタレαにつかまりまして 2

三日月

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16 社宅

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もう少し樟葉のことを聞きたかったんだが、三枝の番避けの設定が終わったようだ。
三枝は、自分で四苦八苦しながら番避け着脱の練習をしていたが、気が付いたら抑制剤について萩野から簡単な説明を聞いているところだった。

フェロモンレイプの現場で他人に使ったことはあっても、自分の身体に打つのとは勝手も違う。
しかも、あのときは緊急事態で気持ちの準備をしているような時間もなかった筈だ。

萩野に習って、自分の腕や足に抑制剤を打ち込む動作を繰り返す三枝。
その様子を申し訳ない気持ちで見守る。
恐らく、俺が三枝をΩにしてしまっている・・・そうとしか考えられない。
三枝は、そんなことはないと否定してくれるだろうが三枝の環境を大きく変えたのは俺しかいないじゃないか。

指を組んだ手に、ギュッと力が入る。

三枝のことは、桜宮財閥の力を全て使って守る。
フェロモンレイプの加害者にもさせないし、気まぐれで手を出してくるようなαからも守ってみせる。
三枝には、未だにΩだというだけで冷遇される側面を感じて欲しくない。
そのためには・・・

今後、三枝に自分が何が出来るかを頭をフル回転させて考える。
三枝は、少しずつΩの自分と向き合っている様子がその真剣な態度から伺えて、見ているだけで泣きそうになる。

三枝に、謝るのは無しだ。
俺がどれだけ謝っても済むようなことじゃない。
俺の近くにいなければ、こんなことにならなかったんだから・・・ 


「・・・三枝君をΩにしたαは、誰なんだろう」


思いつめる俺の隣。
ポツリと呟いた樟葉の言葉を、このときの俺は聞き漏らしていた。
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