ヘタレαにつかまりまして 2

三日月

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16 社宅

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躊躇った俺より先に、樟葉の手が箱に伸びていた。
俺も、コレ自体への苦手意識を考えている場合じゃないな。
今は、三枝を守ることが最優先だ。
残りの二箱から自分の分を貰った。

木を隠すなら森の中。
三枝は、ヤマの窮地を救ったことで世間に顔も名前も知られてしまっている。
一人で着けても、俺とヤマの友人としてこれ以上フェロモンレイプ被害が出ないように願って着けた印象が残るかもしれないが。
番持ちΩの俺と樟葉が着ければ、まだ番を持たないΩへの支援と合わせて三人の友情美談が前面に出る。

男性が着けることへの抵抗や注目も緩和されるだろう。

樟葉は両手で箱を握りしめ、萩野を真っ直ぐに見返して答えた。


「あの、萩野さん。
僕が神事に関わるのは・・・18歳までと決められています。
それまであと2年もないけど、父上に確認して出来るだけ着けます」


普段のおどおどした頼り無い雰囲気も無く、三枝に精一杯のことをしたいと思う気持ちがその静かな口調にこめられている。
前髪から覗く右目に宿る強い決意。
まるで別人みたいだな。
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