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16 社宅

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それで終わりかと思ったんだが、萩野は更に3つの箱を紙袋から取り出した。
透明なケースの中に入っていたものはどれも同じで、見覚えがある。
それは、テーマパークで見たものと形は一緒だった。
病院の在庫から持ってきたんだろうか。


「あ、これ、番避けやん」


三枝もそれに気付いて指を差す。
カラフルなデザインが多かった中でも、キャラクター色が一番少ないもの。
水色地に猫の肉球がワンポイントで着いているだけの番避け。

・・・三枝が着けるのはわかるが、なぜ俺達の分まであるんだ?
俺と樟葉は番持ちのΩだ。
今更着けても意味がないだろう。
萩野を見上げると、こんなことも分からないのかと軽く睨まれる。


「今はΩ人権解放運動の流れで流行り出したところで、圧倒的に女性が着けていますからね。
御友人にΩがいる、と分かっていても三枝様だけ着けていれば目立ちます。
修学旅行先の自分達へのお土産として揃いで買ったことにして、男性が着けても不自然さが目立たないようにした方が良いでしょう。
それに、奏様は来年の結婚式を控えてメディアから注目を集める機会が増えます。
奏様が着けることで、他の人間への波及効果も生まれますよ。
御珠神社で人前の神事に携わる樟葉様には、奏様より波及効果が期待できるので着けていただきたいですが無理強いは致しません」


・・・そう言うことか。
だが、正直俺はコレが好きじゃない。
Ωであることが明るみにでないよう、庇うためだと言われても、Ωにとっては人生を守るのと同義の番避けをアクセサリーにされたことがどうも、な。
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