ヘタレαにつかまりまして ２

16 社宅

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「三枝は、年齢的にヒートがいつ現れてもおかしくない。
萩野、一年分の抑制剤を三枝に渡すよう手配して欲しい。
三枝がいつどうやってΩになったか、今の段階ではわからないが・・・高等部に編入して、俺やヤマの近くにいたことが原因かも知れない」


中学までβばかりの環境にいた三枝の周りは、茅野学園に編入してからも俺がヤマの群れに引き込むまではβの方が多かった。
もし、ここ最近で変異種Ωになったのだとしたら、環境の変化を招いた直接の原因は俺になる。
俺が三枝をΩにしたのだとしたら、どうすれば良いんだろう。

泣きそうになって、歯を食い縛る。
俺がここで泣いても、なんの解決にもならない。
三枝の不安を煽るだけだ。


「了解しました」


萩野が固定電話で指示を出している間に、俺も樟葉の隣で膝を降り三枝の顔を見上げる。
「そんなん、かなちゃんのせいちゃうて！」と気丈に振る舞ってくれるが、瞳は不安げに揺れていた。
俺達Ωに気を使って、泣くことも出来ないのかもしれないな。