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「冗談ではありませんよ、三枝様。
先ほど、口の中に綿棒の大きいものを入れてDNAを採取しましたよね?」
口許から封筒を外し、座っている三枝の顔を上から眺める萩野。
宥めるように、言い含めるように、話しかける。
まだ状況を理解していない三枝へ、じわりじわりと現実を刷り込んでいく。
「あ、あれ、DNA採る検査やったん?
え、でも、俺、βやで?
証明書もあるし、中学はβだけのとこに通ってたもん。
Ωやったら通えへんやん」
三枝は、まだ萩野の言葉を信じてないようだ。
言われたことなど意に返さず、ケロッとしている。
確かに、そんな環境で育っているなら、何を言われても自分がβであることを疑うことはないだろうしな。
三枝は、真っ直ぐ萩野から見詰められ、照れ笑い。
萩野も笑顔で応じているが、笑顔の質が違う。
三枝の反応含め、この状況を楽しんでいるのがわかる。
「出生時の、検査証明書の提出の件ですよね?
それがなければ、βしか通えない進路は選べませんからね。
それに関しては、間違いなく三枝様がβだった証で間違いはないでしょう。
アレの偽造はなかなか手強いですからね」
のんびりした口調で相手の言い分を肯定しつつ、徐々に追い詰めている、よな?
なんだ、その"だった"は。
思い切り過去のことにしているじゃないか。
わざとらし過ぎる!
黙って見ていられず、つい口が出てしまう。
無いとわかってはいるが、萩野が冗談だと言ってくれないだろうか・・・
「だったら・・・三枝はβ、なんじゃないのか?」
「かなちゃん、俺、βやで?」
三枝が気楽に被せてくるが、俺は一縷の望みにかけていた。
もしかしたら、もしかしたら、萩野が頷いてくれるかもしれない。
先ほど、口の中に綿棒の大きいものを入れてDNAを採取しましたよね?」
口許から封筒を外し、座っている三枝の顔を上から眺める萩野。
宥めるように、言い含めるように、話しかける。
まだ状況を理解していない三枝へ、じわりじわりと現実を刷り込んでいく。
「あ、あれ、DNA採る検査やったん?
え、でも、俺、βやで?
証明書もあるし、中学はβだけのとこに通ってたもん。
Ωやったら通えへんやん」
三枝は、まだ萩野の言葉を信じてないようだ。
言われたことなど意に返さず、ケロッとしている。
確かに、そんな環境で育っているなら、何を言われても自分がβであることを疑うことはないだろうしな。
三枝は、真っ直ぐ萩野から見詰められ、照れ笑い。
萩野も笑顔で応じているが、笑顔の質が違う。
三枝の反応含め、この状況を楽しんでいるのがわかる。
「出生時の、検査証明書の提出の件ですよね?
それがなければ、βしか通えない進路は選べませんからね。
それに関しては、間違いなく三枝様がβだった証で間違いはないでしょう。
アレの偽造はなかなか手強いですからね」
のんびりした口調で相手の言い分を肯定しつつ、徐々に追い詰めている、よな?
なんだ、その"だった"は。
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無いとわかってはいるが、萩野が冗談だと言ってくれないだろうか・・・
「だったら・・・三枝はβ、なんじゃないのか?」
「かなちゃん、俺、βやで?」
三枝が気楽に被せてくるが、俺は一縷の望みにかけていた。
もしかしたら、もしかしたら、萩野が頷いてくれるかもしれない。
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