ヘタレαにつかまりまして 2

三日月

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正面玄関に周り中に入ると、冷房の効いた室温に誘われ汗が額に滲み出た。
午前の診療受付時間が終わっていたから、エントランスには精算を待つ患者しかいない。
萩野は、背広の内ポケットからクリップ式の名刺大サイズの名札を出して胸元につけた。

桜宮財閥共通の社員用名札には、所属と名前、それに桜マークが印刷されている。
桜マークは、業務分野によって色分けされ、権限の大きさに比例して花弁に色がつく。

萩野の名札に有るのは、花弁五枚が全て桜色で塗りつぶされているものだ。
これは、桜宮財閥の親族会議に同席する人間に次ぐ立場にあると言う意味だ。
桜宮の血縁以外で、この五枚花を着けている社員はグループ全体の5%に満たない。

萩野は、俺の教育係兼ボディーガードとして内定していたからな。
他の社員より優遇されている、と言うこともあるが・・・それがなくても、萩野ならいずれ五枚花になっていただろう。
入社してからすぐに特例でこの名札を着けていたらしいが、研修中にどの現場に立たせてもそつなく仕事をこなしたため、おかしなやっかみもなく受け入れられた。

ただ、普段はαの気配さえ殺して生きているからな。
知らずにちょっかいをかけてしまったαは、フェロモンを制圧されて以降萩野に酷く怯るようになったらしい。

萩野に気付いた職員が、一瞬仕事を忘れて萩野を目で追うのは、名札の桜マークも有るだろうし大っぴらに表に出たこの姿もあるんだろう。
汗ひとつかかずに颯爽と黒の背広を着こなす姿は、スタイルの良さを際立たせ群を抜く。
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