ヘタレαにつかまりまして 2

三日月

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「さ、降りてください」


萩野は目的地に着くと、車を駐車場に停め、戸惑う三人を車内に残しさっさと運転席から降りた。
後部座席の両側の扉を順に開けて、樟葉と三枝に降りるよう促すと。
続いて助手席側に回り、状況が掴みきれていない俺にも扉を開いてにこやかに微笑む。

・・・なんでここに連れてこられたんだ?

車が止まったのは、桜宮財閥の医療分野を担う『桜花会』の中でも本家扱いされる『さくら病院』
その関係者専用駐車場だ。
樟葉と三枝は、すぐ脇にそびえ立つ五階建ての白亜の建物を仰ぎ見て戸惑っている。

さくら病院は、都市部から車で10分程の場所にあるが、周りに森を残したことで街の喧騒は聞こえてこないよう工夫されている。
助手席から降りると、蝉の声が騒々しいくらいに響いていた。
確か、小児科ではこの森を生かし、希望者かつ医師の許可が下りた子ども達が『さくらたんけんたい』と称し身近な遠足プログラムを行っていた筈だ。

俺個人は、ヤマの番になってから菊川家の御用達、竹居の家が経営する病院に行っているが、プールで溺れた三枝を連れて来たのはここだった。
澪さんには、同じ病院で良かったのにと言って貰えたが、三枝にはフェロモンレイプで世話になったからな。
俺の両親が、今後三枝になにかあったらこちらで面倒をみたいと強く申し出ていたんだ。

結局、三枝は自費分のお金を払ってくれたが。
ここに来るのは、あの日以来だな。


「萩野・・・なぜ、ここに?」

「推測の確認ですよ」


ニッコリ狐目を細められ、これ以上この場で答える気はないんだなと諦めた。
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