ヘタレαにつかまりまして 2

三日月

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「ヤマ、樟葉と三枝と、夏休みの課題についてこのあと話す予定をすっかり忘れていんだ!
それを思い出して、大きな声が出ただけだから心配しないでくれ」

「・・・カナァ」


離れでの予定が後回しになり、一瞬でグズグズなったヤマには悪いが。
樟葉からは、あまり知られたくないことなんだと言われていたからな。
咄嗟に嘘をつくしかない。

普通のαなら、自分を優先しろと番のΩに有無を言わせないところなんだが。
ヤマは、ショックを受けて涙ぐむだけだった。
夏休みに入れば、予定もほぼ入れていないし一緒にいる時間は長いんだ。
多少時間がとられるくらいなんだから、こんな人前で涙ぐむほどのことでもない、とは、思うんだが。

樟葉は、そんな約束はしていなかったのに話を合わせてくれる。
三枝の空いた右腕に腕を絡ませて、「フフフ・・・二人がいたら、ちゃんと出来そぅ」と後押し。
三枝も、「そんな約束してたかなぁ?」と無い記憶を探しだそうとしてくれたから、話題は光る身体より夏休みの課題に移った。
三枝の、まずは自分を疑う性格に救われる。

腕時計の円盤が青く点滅し、周りを見渡したらロータリーの迎えの車の列に桜宮所有の自動車が止まっていた。
送迎車にしては一回り小さく、萩野が移動用に使っている小型車だ。

あの晩、萩野もペンダントトップに組み込まれていた盗聴機から話を聞いていたしな。
独自に調査して、何かわかったんだろうか?
まるで、こうなることを見越したかのような手際のよさだ。
取り合えずヤマには悪いが、ここから三人で移動させてもらおう。
人目が集まりすぎた。

俺は後ろ髪を引かれながら、「萩野も一緒だから、心配するな。出来るだけ早く帰るから、昼食も済ませて離れで待っていて欲しい」とヤマにお願いして荷物を預けた。
ヤマに話して良い範囲で、ちゃんと帰って理由は話すっ

事情がわかっていそうな柴田からは、軽くお辞儀で送り出され。
事情がわかっていないヤマと芝浦からは、手を振られ。
俺達三人を乗せた車は学園を後にした。

で、萩野はどこに俺達を連れていくつもりなんだ?
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