ヘタレαにつかまりまして 2

三日月

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14 修学旅行 side 倭人

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晒された腹部には、痣ひとつ残っていない。
ペタペタ無遠慮に触られても、痛みも感じないらしくされるがままだ。
あれだけ重い蹴りを入れられたのに、芝浦はダメージを全く受けていないようだ。

芝浦はモデルで見られることに慣れてるのか、桜宮相手にまだ緊張しているのか、シゲシゲと間近で見られても無抵抗。
柴田と芝浦に挟まれて座っていた三枝は、「めっちゃキックされてたのに、どうもないんや」と不思議そうに首を傾げていた。


「入れられた時は、衝撃で吐きそうになったんだけどな」

「ははっ、悪かったな」


桜宮につられ、芝浦も笑い返す。
二人は気が合ったらしい。
そのまま拳を軽く合わせ、「なんかやってんの?」「特には」と談笑し始めた。
一方の柴田は、椅子に座り直し眉間にはくっきり刻まれた皺。
目は、隣の樟葉が乗る車椅子に向けられている。
「大丈夫だよぉ」と樟葉に言われても、軽い溜め息。
柴田は、桜宮より樟葉のことが心配なんだな。

芝浦のおかげでカナから意識が外れた。
安心してカナの顔を隠していた手を退けたら、カナの頭が後ろに傾いてきて顎にコツンと当てられてしまった。
「恥ずかしいだろうっ」と小さな声で抗議してきてくれるから、その可愛さについつい口許が緩んでしまう。

俺の顔を見上げたカナは、全く反省していないのを見抜いて「もぉ~」と膨れ面。
ランチに行くまでそっぽを向かれ、顔を見せてくれなかったけど手は繋いだままでいてくれた。
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