ヘタレαにつかまりまして 2

三日月

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14 修学旅行 side 倭人

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三枝の説明によると、急に樟葉の両足が麻痺したように動かなくなったらしい。
樟葉は時間が経てば治ると言い張り、病院での検査を断って車椅子だけ借りる手続きを済ませ今に至る。
樟葉の異常に、一番敏感な柴田が落ち着いているからたいしたことじゃないんだろう。

三枝は、話終わると黙ってしまった。
チラチラ遠慮がちな目線は、俺とカナを見比べて笑っている桜宮に向けられている。
桜宮がついてきたことに、すっかり怯えているようだ。
まぁ、あれだけの力を見せつけられたらな・・・

エントランスに設置された丸型テーブルを二つくっつけて背もたれ付きの椅子に座り囲んでいるが、桜宮の両隣は不自然な開きがある。
俺もカナを桜宮に近付けたくないし。


「倭人さん、そろそろ下ろしてくれないか?
さすがに話しづらい・・・」


俺の膝に座っているカナからは、こそこそ耳元で何度も可愛くお願いされるけど聞かないふり。
腰に回した手を緩める気にはなれない。
前髪を指ですくい、額にキスを贈って俺がカナを大切にしたいことを伝えたんだけど・・・真っ赤な顔も可愛いなぁ。
カナ、涙目になってる。

ここに座るとき、カナ以外から警戒されている桜宮に気を使ってその隣に座ろうとするんだもんな。
つむじやうなじにもキスをして、一生懸命離れないでとお願いした甲斐があった。
カナ、膝に乗せようとしたら逃げようとするし。
膝に乗せてからも、「恥ずかしい」ってプリプリ照れながら怒ってたし。

怒らせたくはないんだけど。
俺、かなり不安定だし、本当に今はダメ。
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