ヘタレαにつかまりまして 2

三日月

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14 修学旅行 side 倭人

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急に足を止めた俺と桜宮。
桜宮もどうやらフェロモンを局地的に浴びせられたらしい。
動きが止まっていた。

カナの両側が急に空いて、数歩先でカナも足を止めて振り返ってくれたけど。

真っ青な顔の俺と。
目を吊り上げたまま、硬直した桜宮。
フェロモンでのマウントは一瞬だったのに。
その場からの一歩目がなかなか踏み出せない。


「どうしたんだ?
何か・・・萩野、か?」


察しが良いカナに、まだ動ける俺は力なく頷く。
桜宮は、かなりヤバイみたいだ。
涙を浮かべた目尻から指も離せず、その指先はブルブル細かく震えてる。
芝浦と柴田相手にあんなに余裕で遊んでいたが、やはり萩野・・・萩野さん相手では格が違うようだ。

カナ、多分萩野さんが凄い相手だと理解はしてるんだろうけど。
俺達みたいな理解の仕方はしてないんだろな。
いつでも簡単に掌握されてしまう、明確な力の差。
力が全ての物指しになるα社会では、萩野さんは畏怖する存在だ。

とてもじゃないけど、近くにいるのを感じるだけで息が詰まる。
普段、気配もフェロモンも殺してくれていなかったら、カナに近付くことさえ出来ないだろう。

桜宮財閥は、カナの教育係兼ボディーガードにするくらいだから萩野さんの本性は知ってるんだろうけど。
こんな人を、よく側においておけるなと感心・・・いや、正気を疑う。
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