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13 修学旅行
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胸がムカムカするような乗り物酔いは無かったが、恐怖の連続に疲弊した心身が重い。
ヤマに隣に座って貰って、その肩に身を凭れたまま目を閉じた。
自分がこんなに怖がるなんて思わなかったな。
「桜宮さん、飲み物をどうぞ」
名前を呼ばれて顔をあげたら、柴田が紙コップを差し出してくれていた。
姿が見えなくなっていたと思っていたら、わざわざ俺のために買いに走ってくれたらしい。
その手には、俺の分しかなかった。
礼を言って両手で受けとると、キャラクターが走り回っている紙コップの表面には滴が浮いていて冷たくて気持ち良かった。
テーマパークに到着してから、水分補給もせず夢中になって遊んでいた。
目の前にした途端、喉が渇いていた自覚が後から来た。
差してあったストローに口をつけると、甘酸っぱいスポーツ飲料が身体に染み渡る。
ゴクゴク喉を鳴らす度に、カラカラ、氷が中で動いていた。
「柴田、いくらだった?」
ヤマが払おうとしたが、柴田は首を振って受け取らない。
「みこがテストでお世話になってますから」と言われたが、柴田に頼まれたとは言え柴田自身には何もしていないんだが。
ヤマに隣に座って貰って、その肩に身を凭れたまま目を閉じた。
自分がこんなに怖がるなんて思わなかったな。
「桜宮さん、飲み物をどうぞ」
名前を呼ばれて顔をあげたら、柴田が紙コップを差し出してくれていた。
姿が見えなくなっていたと思っていたら、わざわざ俺のために買いに走ってくれたらしい。
その手には、俺の分しかなかった。
礼を言って両手で受けとると、キャラクターが走り回っている紙コップの表面には滴が浮いていて冷たくて気持ち良かった。
テーマパークに到着してから、水分補給もせず夢中になって遊んでいた。
目の前にした途端、喉が渇いていた自覚が後から来た。
差してあったストローに口をつけると、甘酸っぱいスポーツ飲料が身体に染み渡る。
ゴクゴク喉を鳴らす度に、カラカラ、氷が中で動いていた。
「柴田、いくらだった?」
ヤマが払おうとしたが、柴田は首を振って受け取らない。
「みこがテストでお世話になってますから」と言われたが、柴田に頼まれたとは言え柴田自身には何もしていないんだが。
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