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13 修学旅行
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「かなちゃん、大丈夫ぅ?」
背後から微かに樟葉の声が聞こえてきた。
真後ろの席に座っている筈だが、振り返る勇気も返事をする余裕もない。
左隣のヤマと繋いだ掌に力を込めるが、冷や汗が滲んでいるからツルッと滑って外れそうで怖い。
不必要に力が入ってしまう。
確かに、ライド入り口近くまできてコレを地上から見上げたときに、遠くで眺めているときには気付かなかったが、随分高くて速いものだなぁとは思っていたが。
聞こえてく来た声は、楽しげな歓声だったのだ。
キャーキャー叫んでいても、乗っていた生徒の顔は笑っていた。
なのに、いざ乗ったらこんな・・・こんな・・・
もういィ、もうイィ、これ以上、上がらないでくれっっ
「カナ、怖かったら目を閉じてみたら?」
ヤマに話しかけられ、そのいつも通りの優しい声に癒される。
ガチガチに緊張して、軋みそうな首を左に回した、その時。
カンカンカン・・・カンッ
俺の願いが漸く届き、規則正しく続いていたカウントダウンが止まった。
視界に入ったヤマにすがり付きたくなって、ふっと、気を抜いた時には。
「うわぁぁぁぁぁあああぁぁっっ」
急降下が始まり、上下左右に身体を振り回され風がすぐそばを駆け抜けテーマパーク内をジェットコースターが疾走。
もう、景色になんか気を配る余裕なんて微塵もなかった・・・
背後から微かに樟葉の声が聞こえてきた。
真後ろの席に座っている筈だが、振り返る勇気も返事をする余裕もない。
左隣のヤマと繋いだ掌に力を込めるが、冷や汗が滲んでいるからツルッと滑って外れそうで怖い。
不必要に力が入ってしまう。
確かに、ライド入り口近くまできてコレを地上から見上げたときに、遠くで眺めているときには気付かなかったが、随分高くて速いものだなぁとは思っていたが。
聞こえてく来た声は、楽しげな歓声だったのだ。
キャーキャー叫んでいても、乗っていた生徒の顔は笑っていた。
なのに、いざ乗ったらこんな・・・こんな・・・
もういィ、もうイィ、これ以上、上がらないでくれっっ
「カナ、怖かったら目を閉じてみたら?」
ヤマに話しかけられ、そのいつも通りの優しい声に癒される。
ガチガチに緊張して、軋みそうな首を左に回した、その時。
カンカンカン・・・カンッ
俺の願いが漸く届き、規則正しく続いていたカウントダウンが止まった。
視界に入ったヤマにすがり付きたくなって、ふっと、気を抜いた時には。
「うわぁぁぁぁぁあああぁぁっっ」
急降下が始まり、上下左右に身体を振り回され風がすぐそばを駆け抜けテーマパーク内をジェットコースターが疾走。
もう、景色になんか気を配る余裕なんて微塵もなかった・・・
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