ヘタレαにつかまりまして 2

三日月

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12 修学旅行 side 陸

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冷めた目のまま鼻で嗤ってやると。


「なっ!」


羞恥か怒りか。
穂高は、ブルブルと布団の上で握った拳を震わせる。
α女子に生まれただけで、チヤホヤされて生きてきたヤツらの反応は毎回大差ない。


「お前の面子は守ってやったんだ。
精々、他が俺に寄り付かない程度の障害として役に立て。
格上α相手に、これ以上吼えるな」


先程まで身体を交えていようが、典型的なα女子の稲葉に俺の心が動くことはない。
αとしてのプライドを保ちたいなら、これ以上俺に近づくなと鬱陶しさが増すだけだ。

下着を身に付け、適当に浴衣の帯を締める。

立ち上がった稲葉が、懲りずに「待ってよ、陸」と手を伸ばしてきたから舌打ち。
腹を割き、腸を生きたまま引きずり出される錯覚を伴う攻撃フェロモンを容赦なく浴びせ、その口を完全に閉じさせた。

ここまでリアルなフェロモンを感じたのは初めてなんだろう。
完全な敗北に、稲葉の顔が恐怖でひきつり色を無くす。
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