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10 入籍

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「ガゼボは食事用と歓談用を並べる。
会場中央に組み立てるから運べ」


直射日光を避けるためのガーデンテント付き大型ガゼボが搬入されると、俺が聞きに行く前に清人さんは外に飛び出してきて配置の指示を始めた。
料理は、ヤマに任せたんだろうか?
清人さんの後からヤマが出てくる様子はない。

清人さんの服装は動きやすい白の繋ぎ。
髪は後ろに束ね、その上から白のキャップを深く被っている。
結婚式の主役というよりも、一作業員。
指示をしながら、自分もガゼボの柱にあたるアイアンを肩に担いで運んでいる。

俺は、BBQの串に材料を刺したり、サラダ用の野菜を洗ったり切ったり皿に盛ったり・・・最初はヤマと離れのキッチンにいたんだが。
清人さんのピリピリしたフェロモンに堪えきれず、ヤマが察して外で出来ることに振り分けてくれた。

僅かなミスも許されないんじゃないかと心臓が痛くなる、キッチンを埋めた冷たいフェロモン。
刻一刻と近づく結婚祝いと山積みな課題に、清人さんには全く余裕がない。
吐く息が白くなるんじゃないかと思えるくらいの極寒キッチンだった。

いくら兄弟とはいえ、ヤマは大丈夫なのかと心配したが・・・苦笑いしていた。
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