ヘタレαにつかまりまして 2

三日月

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9 水泳

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ピーーッ

屋内プールに響き渡る笛の音を合図に、待機していたヤマと笹部が、一旦水中に潜り壁を蹴って泳ぎ始めた。
潜水時間は、笹部の方が短く、先に水面に身体が浮いてくる。


「笹部君、頑張れっ」


隣で三枝が声を張り上げる。
部活で声を出し慣れているからか、他の生徒よりも遠くまで伸びる。
女子の声援で、クラス対抗応援の雰囲気が高まっていたから、クラスが違う笹部を応援する三枝の姿は浮いていた。
だが、三枝本人は周りから不思議がられても気にしない。
声を張り上げ、全力応援の構えだ。

水の抵抗を抑えるためなら、僅かでも潜水で進んだ方が有利なんだぞ。
俺もグッと拳を握り、水面に浮かんできたヤマに向かって「ヤマ、頑張れっ」と声を出した。

ヤマの泳ぎ方は、去年と変わらずお手本のように無駄がない。
水の流れに逆らわず、溶け込むように手足を動かすから飛沫も最小限だ。

対して、笹部の泳ぎ方は荒々しく力任せ。
そう言えば、こんな泳ぎ方だったな・・・周りの水を障害物扱いでもしているのか、豪快に掻き分け押し進む。

泳ぎ方に無駄が多いし、すぐに差がつくかと思っていたのに。
ヤマと笹部の間に差ができない。
応援している俺の方が焦れてくる。
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