ヘタレαにつかまりまして 2

三日月

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9 水泳

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六月も半ばを過ぎ、体育の授業では水泳が始まる。
去年は、女子から水球をぶつけられ、そのあと保健室でヤマに告白される事件もあった。
今年の4組には、ヤマの気を引こうとする生徒もいないし、合同授業で一緒になる3組から目立ってアプローチを仕掛けてくる気配もない。

二年生と三年生には、去年一年間でヤマと俺が番で婚約者で互いに想いあっていることが知れ渡っている。
破局狙いで婚約者になりたい生徒がいるかもしれないが、俺はヤマを誰にも渡すつもりはないし、誰かと共有する気もない。

ヤマに先程手渡された水着に、足と手を通す。
ガランとした男子更衣室には、誰もいない。
ヤマ自ら他の男子を追い払い、扉の前で待機しているからな。
ヤマは、俺の全裸を誰にも見せたくないらしい。
過保護すぎる気がするんだが、もう慣れてしまった。

4月以降、一年生のα女子の中には、果敢に告白し、自分なら恋人になれると自意識の高い者は居たが、ヤマは全く相手にしていなかった。
俺と番になる前は、話くらいは最後まで聞いていたのに、呼び出されたその場でお断り。
さすがに二ヶ月も過ぎればそれも途切れた。
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