ヘタレαにつかまりまして 2

三日月

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5 誕生日

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膝で体重を支えながら、傾けていた上半身を起こす。
緊張で冷えた指を少しでも暖めるために、「はぁーーー・・・」と息を吐きかけた。
まだ、高校生のはずなのに、高身長で若干細身ではあるが均整がとれた体つき。
これから変わっていく所もあるんだろうが、きっと周りを魅了する方向にしか伸びないんだろうな。

桜宮家も、父さんを筆頭に力の強いαばかりで。
偽装αを徹底していたから、学校でも俺の周りはβよりαが多かった。
間近でαの優生ぶりを見せつけられ、魅せられ、Ωとの格差に苛立ちを覚えていたのに。


「触るぞ?」


声をかければ、枕にもたれながら緩く笑って軽く頷かれる。
ひたり、と。
心臓の当たりに手を添えたら、その下で筋肉がピクンと動いたのが伝わってきた。

いくら努力しても掠りもしなかった存在が。
今は俺のもの。
Ωの俺に、こんなことまで許してくれるヤマは、俺だけのもの。
そのまま頭を垂れ、触れていた場所に口づける。
ヤマは、くすぐったそうに喉を震わせた。

αに生まれたくて。
せめてαに負けたくなくて。
Ωに生まれた自分を嘆く暇があるなら、持たない牙を磨く努力をし続けてきた。

そんな俺に。
ヤマは、牙を受け入れる身体に生まれたことへ喜びを感じさせてくれたんだ。
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