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3 入学式

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晴天の月曜日は、入学式日和だった。
在校生挨拶を担当するヤマは、壁際の教師と同じ列にいて俺もその隣で開会宣言を聞く。

採光用に大きくとられたはめ殺しの窓ガラスには、雲1つない青空。
桜が風に揺られて舞い上がっているのが見える。
気温も暖かいから、居眠りしている生徒までいる。
春眠暁を覚えず・・・あぁ、教師もか。

ぐるっと講堂を見渡せば、教師の列の最後尾。
出入り口のすぐ傍で、養護教諭の田栗先生が堂々とパイプ椅子に浅く腰掛け寝ていた。
保護者の目もあるんだから、こんな日くらい白衣にアイロンをかけてきてもいいんじゃないか?
さすがに伸ばしっぱなしの髪は後ろに束ねられているようだが、無精髭すら剃っていない。

隣にいる教師は見て見ぬふり。
教師の中では格上のαらしいが、普段から野放しにしすぎているのは学園長との付き合いが長いからと聞いたことがある。
居眠りやお喋りを監視する教師が率先して寝るとか・・・緩い入学式だな。
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