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1 始業式
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アラームが鳴る前に目が覚めた。
カーテンの隙間から光が僅かに漏れて部屋を照らしている。
どうやら、緊張して早く起きてしまったらしい。
鳴るまで寝ておこうか・・・瞼を閉じなおし、すぐ傍で眠るもう一人の身体に身を寄せる。
布団の下で、俺の身体を緩く抱き締める人肌の暖かさを感じるのも、自分以外の寝息に耳を傾けるのも・・・いつかは、当たり前になるのだろうか?
今は、まだ、無理だな。
ゆっくり瞼を開ければ、目の前には明らかに男とわかる平坦な胸板があって。
揃いの黒いシルクのパジャマに身を包んでいるそこが、規則正しく上下している。
視線をあげれば、幸せそうに微笑みさえ浮かべてまだ寝ている俺の番、菊川 倭人(きくかわ やまと)、ヤマの顔がすぐ近くにあって。
無邪気で無防備な寝顔を、誰にも邪魔されることなく眺められる・・・のを、嬉しくてつい笑いながら見てしまう。
俺の身体を包み込むヤマのフェロモンは、今朝も優しくて。
「好き」「可愛い」「俺のカナ」と耳元で囁かれてるような甘さまで含まれている。
長年の習慣で、目覚めと共に今日一日を恙無く過ごすために構えてしまう俺を和らげるには十分すぎる。
あの頃とは、違う朝なんだとすぐにわかる。
夢にさえ見ることもなかった、甘い関係。
俺のうなじに刻まれた、ヤマの噛み跡が構築した番という結び付きだけじゃなく。
俺がヤマが好きで、ヤマも俺が好きだと言ってくれる関係をまた確認出来て。
幸せ過ぎるなぁと、溜め息にも近い吐息を漏らした。
カーテンの隙間から光が僅かに漏れて部屋を照らしている。
どうやら、緊張して早く起きてしまったらしい。
鳴るまで寝ておこうか・・・瞼を閉じなおし、すぐ傍で眠るもう一人の身体に身を寄せる。
布団の下で、俺の身体を緩く抱き締める人肌の暖かさを感じるのも、自分以外の寝息に耳を傾けるのも・・・いつかは、当たり前になるのだろうか?
今は、まだ、無理だな。
ゆっくり瞼を開ければ、目の前には明らかに男とわかる平坦な胸板があって。
揃いの黒いシルクのパジャマに身を包んでいるそこが、規則正しく上下している。
視線をあげれば、幸せそうに微笑みさえ浮かべてまだ寝ている俺の番、菊川 倭人(きくかわ やまと)、ヤマの顔がすぐ近くにあって。
無邪気で無防備な寝顔を、誰にも邪魔されることなく眺められる・・・のを、嬉しくてつい笑いながら見てしまう。
俺の身体を包み込むヤマのフェロモンは、今朝も優しくて。
「好き」「可愛い」「俺のカナ」と耳元で囁かれてるような甘さまで含まれている。
長年の習慣で、目覚めと共に今日一日を恙無く過ごすために構えてしまう俺を和らげるには十分すぎる。
あの頃とは、違う朝なんだとすぐにわかる。
夢にさえ見ることもなかった、甘い関係。
俺のうなじに刻まれた、ヤマの噛み跡が構築した番という結び付きだけじゃなく。
俺がヤマが好きで、ヤマも俺が好きだと言ってくれる関係をまた確認出来て。
幸せ過ぎるなぁと、溜め息にも近い吐息を漏らした。
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