可愛いΩのナカセカタ

三日月

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番外編

酒の肴 16

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「ゆーらっ、起きてんのがバレてんの、わかってるだろ?
 いつまでそうしてるつもりだ?」


 丸くなって、亀のように掛け布団をすっぽりと被って寝室から出てこない由良。俺は、風音を抱えたまま側に腰を下ろすとグイッと体重をかけて背中を預けた。ついでに腕を伸ばして風音を持ち上げると、ケタケタ笑い喜んでいる。
 帰宅してから、由良が起きてくるまで風音とリビングで遊んでいたんだが。ゴソゴソ音はしてんのに、起き上がる気配が無い。身体を痛めたのかと見に来たんだが、布団の中に籠城した由良は「大丈夫、痛みはない」とボソボソ答えるだけで出てこない。
 昼飯も近いし、そろそろ由良も起きて何か食べたほうが良いだろう。凪や風花を迎えに行ったら、ゆっくり食べる時間も無くなる。そう誘ってみたのに。


「も、もう少しだけ・・・」


 なんとも弱々しい声での拒否。風音をけしかけると、布団の大きな塊の中身が気になったらしい。端をめくって、「ゆーらっ」と俺の口マネで呼びかけている。由良は、風音相手に布団を強く引っ張って隠れることも出来ないからな。俺はゴロンと横になって、その隙間から中を覗いてやる。
 布団の影で、俺に気付いた由良の顔がみるみる赤く染まっていく。なんだ、その可愛い反応。どうせなら、明るいところで見せろよ。
 風音が由良の方へ這っていく間に、さっさと布団を引きよせてその半分を奪った。窓から射し込んでる日差しに、由良のそこら中に鬱血した痕や噛み跡が残る身体が晒される。


「うわっ、は、疾風、あの、そのっ」


 裸を見られてることよりも、俺と目が合ったことに右往左往する由良。その場に身体を起こして目を泳がせる。よっぽど恥ずかしいのか、顔も真っ赤だが目には涙まで溜まってるぞ。
 暗がりのトンネルを進んで楽しんでいた風音は、屋根がなくなったので四足のままその場で止まった。楽しみを奪われ泣くかと思ったが、ワタワタと落ち着かない由良を見上げその動きが面白かったんだろう。座って「あわわ~」と言いながら両手を上下。どうやら由良の真似らしい。
 真似された由良は、俺と風音を見比べ迷った末に「えーっと、風音は真似っ子が上手だなぁ」と褒め始めた。
 隠れん坊は、終わりだな。
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