可愛いΩのナカセカタ

三日月

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番外編

真似っこ、お揃い、あのひとと 7

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「大学に進学するタイミングで、姓を変えようと思っています。
 家も・・・」

「家はまだ止めておけ。
 由良が泣く」


 疾風様からの却下は早かった。最後まで言い終わらぬ内に、言葉を断ち切られる。僕はそれに、わかりました、と頷く。疾風様はコーヒーカップをソーサーの上に戻して薄く微笑まれました。拒否しないことは予想通りと言うより、当然と思われているのでしょう。
 疾風様が最優先で考えておられるのは、由良がこのことでどう感じるか。確かに、名前も住む場所も一度に変われば、由良は寂しがるでしょうね。僕もそれについて考えはしたのですが、椿頭の名前を継げば各方面から注目されます。それで由良のことまで情報が露出しないかと心配だったのですが・・・それについては、僕が気にする必要は無いということですね。由良を傷つけるようなことを、疾風様が黙って見過ごすことなんて無いのでしょうからね。
 由良にとって、いくつになっても僕は子どもで身内。無償の愛を注ぐ存在で、いつでも優しく見守っていきたいと心から思って行動でも示してくれる。疾風様のように、成長すれば自分の群れから出し、そこであっさり切り捨てるように考えたりはしないでしょう。まぁ、αとΩの性差もあるのでしょうが。


「では、お爺様から強く言われるまでは、あの家で暮らします」


 由良のことが絡むと、柔らかく優しい顔を見せる疾風様。今も、僅かですがふわりと表情が緩まれました。子どもの僕でも、他とのギャップにドキッとしてしまいます。我が父ながら、その二面性は病的すぎやしないかと思いますよ。確かに由良は自慢の孕親ですが、疾風様にこんな顔をさせるなんて・・・きっと僕の知らない魅力が、由良にはまだまだたくさんあるんでしょうね。
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