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番外編
嵐に舞う雪 25(完)
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「雪さん、愛しくてたまりません」
「あ、あほかっ」
耳まで赤く染まった雪さんから主導権を奪い返して、ニヤリと嗤う。あぁ、この照れた顔。俺以外に見せないでくださいよ。
この存在が誰のものか、せめて格下αが手を出してこないように俺のフェロモンで隠さないと。尖った牙の感触を唇で確かめる。忙しくて、ずっと雪さんを噛んでいなかった。雪さんの身体を早く喰らいたい。
解き放ったフェロモンは、強すぎる独占欲で蜃気楼のように雪さんの背景を屈折させて歪ませる。
あぁ、早く俺を受け入れて。
強欲なフェロモンに襲いかかられ、俺の発情に煽られ、雪さんは自分の身体を抱き締めて身悶える。もう、ここからは、一瞬でも俺から離れるのは赦さない。上体を起こして、その頭を掴み、左耳の耳垂を口に含んで耳介の窪みを舌で確かめる。
「あ、あほ・・・やめっ」
震える指で押し返してくるから、わざとビチャビチャ音が鳴らして細い首を舌で攻める。首と耳がこんなに弱いのは、きっと俺しか知りませんよね。声を無くし痙攣する背中に指を這わせ、もう一度言葉にする。
「愛しくてたまりません」
あの日、俺に向かって走ってきたときから、貴方を受け止めて守りたいと思っていたんだ。未熟な俺の番になったばっかりに、迷惑ばかりかけているけれど絶対に離さない。
興味本意で手を出す奴等にも、観賞用に喉を潰し商品として仕立てようとする奴らにも、渡さない。
「・・・はっ、殺気出しながら言う台詞かよ。
嵐はどこ見てんだ?
俺見てんのか、あん?」
言葉は乱暴だけど、熱を含んだねだる声で名前を呼び、頬をつねってくる雪さんに、しっかりと焦点が、あった。
「雪さんだけ、見てます」
もう、貴方しか、見えてません。
「なら、いい」
短く答えて、雪さんは笑う。この人に俺の気持ちはどこまで届いているんだろう。雪さんを奪われそうになり不安定になっている俺に、自分の身体を差し出し誰のものか確かめろと無言で示してくれる人。雪さん、貴方に一目惚れを何度も繰り返し過ぎて、俺はどうにかなりそうで。もう、なっているんだと思います。
番にした責任、取れるように頑張りますから。
一目惚れさせた責任、とってくださいね。
「あ、あほかっ」
耳まで赤く染まった雪さんから主導権を奪い返して、ニヤリと嗤う。あぁ、この照れた顔。俺以外に見せないでくださいよ。
この存在が誰のものか、せめて格下αが手を出してこないように俺のフェロモンで隠さないと。尖った牙の感触を唇で確かめる。忙しくて、ずっと雪さんを噛んでいなかった。雪さんの身体を早く喰らいたい。
解き放ったフェロモンは、強すぎる独占欲で蜃気楼のように雪さんの背景を屈折させて歪ませる。
あぁ、早く俺を受け入れて。
強欲なフェロモンに襲いかかられ、俺の発情に煽られ、雪さんは自分の身体を抱き締めて身悶える。もう、ここからは、一瞬でも俺から離れるのは赦さない。上体を起こして、その頭を掴み、左耳の耳垂を口に含んで耳介の窪みを舌で確かめる。
「あ、あほ・・・やめっ」
震える指で押し返してくるから、わざとビチャビチャ音が鳴らして細い首を舌で攻める。首と耳がこんなに弱いのは、きっと俺しか知りませんよね。声を無くし痙攣する背中に指を這わせ、もう一度言葉にする。
「愛しくてたまりません」
あの日、俺に向かって走ってきたときから、貴方を受け止めて守りたいと思っていたんだ。未熟な俺の番になったばっかりに、迷惑ばかりかけているけれど絶対に離さない。
興味本意で手を出す奴等にも、観賞用に喉を潰し商品として仕立てようとする奴らにも、渡さない。
「・・・はっ、殺気出しながら言う台詞かよ。
嵐はどこ見てんだ?
俺見てんのか、あん?」
言葉は乱暴だけど、熱を含んだねだる声で名前を呼び、頬をつねってくる雪さんに、しっかりと焦点が、あった。
「雪さんだけ、見てます」
もう、貴方しか、見えてません。
「なら、いい」
短く答えて、雪さんは笑う。この人に俺の気持ちはどこまで届いているんだろう。雪さんを奪われそうになり不安定になっている俺に、自分の身体を差し出し誰のものか確かめろと無言で示してくれる人。雪さん、貴方に一目惚れを何度も繰り返し過ぎて、俺はどうにかなりそうで。もう、なっているんだと思います。
番にした責任、取れるように頑張りますから。
一目惚れさせた責任、とってくださいね。
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