可愛いΩのナカセカタ

番外編

嵐に舞う雪 ２４

　親父様まではなんて高望みはしないから、せめて風音くらいの力は欲しかった。

　いくら修行したところで埋まらない穴は、俺の知名度でカバーしようとしているのになかなか計画通りには進まない。いつになったら、この人は俺の番だと。誰にも奪わせないとはっきり示すことが出来るのか。


「おぃ、てめぇっ
　上の空たぁ良い度胸じゃねぇか？」


　腰に股がり、自分から勢いよく上服を脱いで素肌をさらす雪さん。腰を揺らされ、そのあからさまな誘いに苦笑い。
　誰に凌辱されても、雪さんは引きずらないし折れない。昼間あったことなどすっかり忘れて、俺を求めてくれる。

　αだと思い込んでいた時期が長くて、雪さんは番になってからも抱かれる側なのを嫌がっていた。最初は、俺が発情するのに仕方なく付き合ってくれて。文句とダメ出しを、ツラツラ並べられていた。
　でも、今は自分からその気になって脱いでくれている。潔い切り替えに、初めて乗っかられた時はビックリしたものだ。

　番におけるセックスは、どうしてもα本位になってしまう。俺の発情に雪さんは強制的に煽られる。
　逆に、俺の発情の有無が雪さんには手に取るように分かるから、集中出来てないことは筒抜だ。


「見惚れてました」


　雪さんの強さに。


「はぁ？」


　上がり口調で顔をしかめるけれど、照れているのが伝わってくる。しなくてはいけないことは、山ほどあるけれど。もうひとつの悩みの種、魅力が有りすぎる番が奪われないか心配で堪らないこと以上に難題とは思えないな。