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番外編
第一回世良会議 1
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時計の針が23時を回る頃、足音をさせずに部屋から双子の兄である凪が床を滑るように出てきた。
おっそーいっ
ダイニングテーブルに座り待ち構えていた私や風音から睨まれても、マイペースにその横を通りすぎ、キッチンで自分用の緑茶を入れ始める。すでに着席している人間の手には、プルタブの開いたビールや酎ハイが握られ、机の上にはつまみが盛られ、外装の袋と空き缶が隙間を埋めるように散らばっているが全くもって急がない。
世良ちゃん、今日は部活体験でいろんなとこを覗いてたみたいだし、疲れてもっと早く寝ると思ったのになぁ。凪の出てきた部屋の方にチラッと視線を送る。
ぽっかり開いた出入口。我が家には、部屋を区切るための扉が存在しない。ここに引っ越してきた時点で取り外されてるから、これが当たり前で今更疑問も問題もない。
ん?でも、ないか。兄妹の裸を見たり見られたりで動じる末っ子Ωの世良ちゃんには問題かも。思春期で、私達には見つかりたくないものとかそろそろ持ち込んだりしちゃったりするのかしら。楽しみだな~
他のα組は、萩野合宿で使ってる仕切り無しのシャワーブースで散々見てるしね。見られて困る物もお互いに無かったから、そういうのは新鮮でお姉ちゃんは嬉しいぞ!
私の手の中で、既に三缶目のビールが半分を切っていた。父親に似て、凪以外は皆ザル。テーブルを見渡しても、誰一人顔色が変わってない。凪は、ただ由良の真似をして自称してるだけかもしれないけど、お酒には弱いからと普段から頑なに飲まないのよね。
湯飲みを手にやっと隣の席についた凪と、その前に座る青嵐、私の前に座る風音の顔を順に見渡し、私は漸く今夜の本題に入った。
「では、只今より、由良を泣かさず平和な萩野家を維持する上での私達兄弟の最優先事項、うちの可愛い世良ちゃんを中学校でも守っていくぞ、通称、第一回世良会議を始めます!」
おっそーいっ
ダイニングテーブルに座り待ち構えていた私や風音から睨まれても、マイペースにその横を通りすぎ、キッチンで自分用の緑茶を入れ始める。すでに着席している人間の手には、プルタブの開いたビールや酎ハイが握られ、机の上にはつまみが盛られ、外装の袋と空き缶が隙間を埋めるように散らばっているが全くもって急がない。
世良ちゃん、今日は部活体験でいろんなとこを覗いてたみたいだし、疲れてもっと早く寝ると思ったのになぁ。凪の出てきた部屋の方にチラッと視線を送る。
ぽっかり開いた出入口。我が家には、部屋を区切るための扉が存在しない。ここに引っ越してきた時点で取り外されてるから、これが当たり前で今更疑問も問題もない。
ん?でも、ないか。兄妹の裸を見たり見られたりで動じる末っ子Ωの世良ちゃんには問題かも。思春期で、私達には見つかりたくないものとかそろそろ持ち込んだりしちゃったりするのかしら。楽しみだな~
他のα組は、萩野合宿で使ってる仕切り無しのシャワーブースで散々見てるしね。見られて困る物もお互いに無かったから、そういうのは新鮮でお姉ちゃんは嬉しいぞ!
私の手の中で、既に三缶目のビールが半分を切っていた。父親に似て、凪以外は皆ザル。テーブルを見渡しても、誰一人顔色が変わってない。凪は、ただ由良の真似をして自称してるだけかもしれないけど、お酒には弱いからと普段から頑なに飲まないのよね。
湯飲みを手にやっと隣の席についた凪と、その前に座る青嵐、私の前に座る風音の顔を順に見渡し、私は漸く今夜の本題に入った。
「では、只今より、由良を泣かさず平和な萩野家を維持する上での私達兄弟の最優先事項、うちの可愛い世良ちゃんを中学校でも守っていくぞ、通称、第一回世良会議を始めます!」
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