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299 Ω 現在
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アンダーグラウンドに居たときは、目を瞑り、耳を閉じ、関わらないように生きていたが。疾風の番になる前に、萩野家の番になる覚悟と心構えを身に付けるため、萩野家について疾風の父親、現当主から直々に「ほんのさわり」を教えれた。
人殺しも厭わない裏家業そのものが、家の歴史であり誇りであること。
当然、その血脈を継ぐ子どもも、必ず萩野家の仕事に就くことになること。
疾風は、その一族の中で、幼い頃から幹部の座を狙える程の強さ。将来を期待され、難度の高い仕事にも多く関わる分、怨恨により自分が狙われることもあること。
他にも教えられたことを全て受け入れ、疾風の番になった筈だったんだが・・・現在、疾風は足を洗い、疾風の血を受け継ぐ人間は萩野家の仕事に就かない誓約まで交わしている。疾風は、詳しい成り行きを濁すけれど、自分が交わさせてしまった自覚はある。
そこから離れたこと、疾風は後悔していないんだろうか。
自分の前では、疾風は未練を引きずる様子を微塵も見せず、他の仕事に就くために進学し、一流企業にあっさり就職を決めた。
疾風が狩る側から身を引いたことは嬉しいんだが、自分のせいで、疾風の人生を変えてしまったことになるからな。何年経っても、申し訳ない気持ちが燻って消えない。
あの日、取り戻した記憶。自分をΩ狩りから助け出してくれたリングでも、アンダーグラウンドで血塗れで出会ったときも、疾風は冷静に仕事をこなして見えた。嫌がっているふうには見えなかった。
「何、由良?」
玄関の二重ロックを施錠した疾風が振り返り、自分の視線に気付いて近付いてくる。下ろしていた手に指を絡められ、優しく微笑まれ。バクンと心臓が波打った。一瞬で顔が赤くなったのが自分でもわかる。
子ども達から、自分は疾風が好きすぎるとよくからかわれるんだが。こんなに優しい顔をされて、動揺しないなんて無理だ!
いつもなら、からかってくる声も聞こえない。二人きりの玄関で、どうしていいかわからずに固まってしまう。昨日の朝、引っ越してくるまでら、賑やかだった。疾風も不規則な仕事で、こんなふうに二人きりでゆっくり出来ていなかったから・・・正直、照れくさい。
人殺しも厭わない裏家業そのものが、家の歴史であり誇りであること。
当然、その血脈を継ぐ子どもも、必ず萩野家の仕事に就くことになること。
疾風は、その一族の中で、幼い頃から幹部の座を狙える程の強さ。将来を期待され、難度の高い仕事にも多く関わる分、怨恨により自分が狙われることもあること。
他にも教えられたことを全て受け入れ、疾風の番になった筈だったんだが・・・現在、疾風は足を洗い、疾風の血を受け継ぐ人間は萩野家の仕事に就かない誓約まで交わしている。疾風は、詳しい成り行きを濁すけれど、自分が交わさせてしまった自覚はある。
そこから離れたこと、疾風は後悔していないんだろうか。
自分の前では、疾風は未練を引きずる様子を微塵も見せず、他の仕事に就くために進学し、一流企業にあっさり就職を決めた。
疾風が狩る側から身を引いたことは嬉しいんだが、自分のせいで、疾風の人生を変えてしまったことになるからな。何年経っても、申し訳ない気持ちが燻って消えない。
あの日、取り戻した記憶。自分をΩ狩りから助け出してくれたリングでも、アンダーグラウンドで血塗れで出会ったときも、疾風は冷静に仕事をこなして見えた。嫌がっているふうには見えなかった。
「何、由良?」
玄関の二重ロックを施錠した疾風が振り返り、自分の視線に気付いて近付いてくる。下ろしていた手に指を絡められ、優しく微笑まれ。バクンと心臓が波打った。一瞬で顔が赤くなったのが自分でもわかる。
子ども達から、自分は疾風が好きすぎるとよくからかわれるんだが。こんなに優しい顔をされて、動揺しないなんて無理だ!
いつもなら、からかってくる声も聞こえない。二人きりの玄関で、どうしていいかわからずに固まってしまう。昨日の朝、引っ越してくるまでら、賑やかだった。疾風も不規則な仕事で、こんなふうに二人きりでゆっくり出来ていなかったから・・・正直、照れくさい。
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