可愛いΩのナカセカタ

三日月

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221 Ω

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 こんな目に合わせた芹沢は、憎い。それでも自分は、"俺の由良"とまだ言って貰えるだけで嬉しい。

 リングの上で、どん底にまで堕ちたあの日。自分を救うために親が雇った萩野家に、命を奪われた6人がいたのを思い出した。

 その中には、共に格闘技を盛り上げようと、俺がΩとわかるまで同志や仲間として接してくれていた選手がいた。格闘技以外の話もするくらい、プライベートでも親しく。あの中のひとりに、子供が産まれたと写真を見せられ。父親になった喜びを語る姿も見ていた。

 これまで、俺がΩだと公表したためにΩ狩りにあい、ジムにも迷惑をかけ、当然の報いでアンダーグラウンドに堕ちたと思い込んでいた。自分だけが犠牲になったんだ、自分だけが甘んじて受け入れていればそれで良いと思いこんでいた。
 でも、あのとき。あの場で、疾風達に殺された選手の、残された家族は一体どうなったんだろう。自分がΩと公表したせいで、殺された選手以外にも犠牲になった人はもっと沢山いたんじゃないだろうか。

 自分は、リングから離れることになったけれど。疾風の番になることが出来た。それは、どんなことがあっても、自分の中では覆らない疾風との絆だ。もう、それで十分なんだ。

 自分は、相手を憎むより、赦したい。一方的な力で報復するより、その時の法の基で平等に裁いて欲しい。与えられるべき罰は、重すぎても軽すぎてもダメなんだ。
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