可愛いΩのナカセカタ

199 α

｢ライブ配信は妨害しているんだろうな｣

｢流れる前に居所は突き止めたからな。
　ぼっちゃん、あの・・・｣

｢喋るな、律郎。
　さっさと連れていけ。
　由良がこんなアホに掘られたり殺られたら、お前も巻き添え喰う覚悟は出来てるよな？｣


　画像を見た途端、ブチキレたフェロモンを放出した俺にりっちゃんは戦々恐々。車内の空気は一気に氷点下。車中に充満した俺のフェロモンに呑まれながらも運転を続け、なんとか俺を宥めようと試みるりっちゃん。その様子を、まるで他人事のようにたいしたものだと距離を取り冷静に判断している自分もいるが。画面から目が離せないもう一人の俺は、自分の番を傷つけいたぶるαを殺したくて堪らない。
　危ういバランスを察したりっちゃんは、無言でアクセルを踏む。

　まずは、由良の確保。殺るのは後でいい。


　だから、暴発するなよ、俺。


　怒りに任せて乗り込めば、自分に何が出来てしまうか予想はつく。手当たり次第に暴れ、破壊し、由良まで傷付けたら意味がない。