可愛いΩのナカセカタ

154 α

　それを忘れて、由良が他のαの名前を呼ぶことにムカつくって・・・どんだけアホなんだ、俺は。なんでも適当にこなしてきただけに、自分の間抜けさぶり、そんな面を自分が持ち合わせていることにも驚いた。
　由良といると、調子が狂う。でも、嫌な気はしない。

　まぁ、あのとき、人生で最大級に心中乱れきった状態でも、嘘をつく要領で適当に誤魔化し由良に名前を告げたんだが。由良は、俺の名前を知ったことで頭がいっぱい。声に出すのも躊躇うらしく、胸を押さえて口パクで呼ぶ練習を始めていた。
　その後ろ姿を眺めながら、俺が自分の失態を由良に気づかれなかったことにどれだけホッとしたか・・・由良には絶対に気付かせない。

　由良に名前を呼ばれると、未だにあのアホな自分を思い出すからなぁ。呼ばれ慣れるまで、暫くは落ち着かないな。
　無意識に、勃起した自分のペニスを触ろうと下りてきた由良の指を口に含んで吸い上げる。敏感な由良は、甲高い悲鳴を洩らして指を引っ込め、そのまま濡れた指を口に含み、息継ぎをするように、名前を何度も呼んで俺を求める。