例えβに生まれても

1 送迎の王子様

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あぁ、入学式初日のお迎え騒ぎ以降、数えるのも嫌になる校長室へのお呼び出しを受けていて...明日も呼ばれちゃうのかなぁ。
｢梅田君には全然非がないんだけどね｣は、毎回の決まり文句。
校長先生とこの１年で一番顔を会わせた生徒になるんじゃないかな。


｢なかなか来ないから心配した｣


小学生の頃から俺を有名人にしてしまう御子息様との思い出は増えるばかり。
溜め息をつく俺の前方で、爽やかに微笑む御子息様。
それを既に風物詩として受け入れた生徒やご近所の方が暖かく見守っていて。
御子息様目当ての方々からは、俺に向かって冷たい視線が継続中。

周りの温度差を気にしない御子息様は、俺の手にしていた学生鞄を取り上げようと待ち構えている。
ギリギリ校門の車輪溝から入ってこないのは、何度も何度もお願いしたから。